第20回

（東京都足立区）

多様化するゲストにフックする
意外な伝統的設備

この連載では、レジャーホテルの新たな試みを中心に、進化するハードやサービスなどを積極的に取り上げてきた。レジャーホテルとは、伝統的にラブホテルと称されてきた業態であることは周知の事実であり、宿泊に加えデイユースも盛んであるが、近年、ホテル・旅館業というカテゴリーの“宿泊施設”として認知が高まるようになった。筆者はボーダレス化を指摘してきたが、逆説的に一般ホテルとレジャーホテルの差異についても考えるようになった。

先日、某テレビ番組の企画で「ラブホテルのエアーシューター」について取り上げたいとのオファーがあった。自身の年代では往時のエアーシューターを体験する機会はなかったが、未だ現役で活躍するホテルがあるとのことで「ホテル SKYLOVE」でのロケを兼ねた取材となった。番組では“昭和の遺産”として紹介していたものの、共演した20代の男性レポーター（ハーフ）はその仕掛けに大興奮、「ある意味最先端！外国人に絶対ウケる！！」と大いに盛り上がった。

ホテルSKYLOVEで40年近く活躍しているエアーシューター。未だ残っている理由は自動精算機に関連した法令という現実的な理由でもあるが、結果としてメディアで注目されるなど「ラブホテル特有の伝統的設備」が時代を経て“ある種の最先端”として注目されるシーンが増えている。“ブームは繰り返す”とまではいかないが、結果として残った伝統的設備は訪日外国人旅行者などのゲスト多様化という渦中にあって、充分勝負できるアイテムだ。

伝統的というイメージに反し、リニューアルを経た客室は落ち着きがあり快適な滞在ができそうだ。ガレージから直接チェックインできるので、一般ユースのケースでも利便性は高いだろう。一方、同ホテルでは他にも特有の設備を有する客室があり奥深い。エリアで唯一SM設備を有する客室もあり、遠方からも多くのゲストが訪れるという。

ユニークな客室に独特な遊び心のあるアドベンチャーホテルを謳うホテル SKYLOVE。一般ホテルとの差異を感じつつ、レジャーホテルのあり方を再考する取材となった。


ホテル SKYLOVE
東京都足立区入谷8-14-17
TEL.03-3855-3641

ホテル評論家　瀧澤 信秋氏
日本で数少ない宿泊者・利用者目線のホテル評論家として、テレビやラジオへの出演、雑誌・新聞連載など、多方面で活躍。著書に「365日365ホテル 上」（マガジンハウス）、「ホテルに騙されるな！ プロが教える絶対失敗しない選び方」（光文社新書）など
http://www.takizawa-nobuaki.net/hotel/