第11回

（埼玉県所沢市）

レジャーホテルも
チェーンクオリティとブランディングの時代

外資系ホテルチェーンが席巻する日本のホテルシーンにおいて、担当者から度々聞くのが「ブランディングのむずかしさ」だ。リブランドと小手先のリニューアルばかりでは、チェーンのコンセプトは一体何か？という利用者の声も理解できる。“コンセプト”はいまや流行語とも言って良い表現でありさまざまなシーンで多用されているが、とはいえ、ホテルはかなりその重要性が高い業種だ。

とくにチェーンホテルでは、良質なコンセプトはイメージアップに直結する。それはレジャーホテルも同様だ。その点で、各地へ展開するレステイグループは秀逸である。チェーンホテルにとって重要なのは均一したクオリティだ。西武園や多摩湖周辺エリアの人気施設だった従前のレステイムーンが、さらなるリニューアルを経て“レステイクオリティ”を打ち出し、利用者の絶大な支持を受けている。

レステイ所沢は、エリアのリゾート感を意識するかのようなスッキリした外観デザイン。一方、ロビーから客室に至るまで、非日常感とストーリー性溢れるアプローチが楽しい。
もちろんアメニティ、備品類から秀逸なグルメまで“揃う”。レジャーホテル業界において「あったらいい」の実現は重要なテーマだ。

あったらいい、の追求は「至れり尽せり」の実現とも換言できるだろうが、両者には大きな壁がある。ハードを準備しモノを揃えることで満足している施設がいかに多いか。揃えることは維持することも意味する。それはレジャーホテルのヒューマンとも換言できる。チェーンホテルの強みは、ブランディングの強さと共にソフトの維持管理、レジャーホテルでいえばことさら、対人間性のシステム構築にある。

至れり尽せりが結実しゲストを幸せにする。ブランディングの強みをチェーンホテルに感じる瞬間だ。


レステイ所沢
埼玉県所沢市上山口1363-2
http://www.restayhotels.com/

ホテル評論家　瀧澤 信秋氏
日本で数少ない宿泊者・利用者目線のホテル評論家として、テレビやラジオへの出演、雑誌・新聞連載など、多方面で活躍。著書に「365日365ホテル 上」（マガジンハウス）、「ホテルに騙されるな！ プロが教える絶対失敗しない選び方」（光文社新書）など
http://www.takizawa-nobuaki.net/hotel/