連載 ④
セックスでコロナ感染したらどうしよう!?と
不安がる人々…
高まるステディで
サスティナブルなパートナーの価値
作家・コラムニスト 神田つばき
■着替えからデートが始まる!?
「コロナのせいで、急に遠距離恋愛になったみたい」と語ってくれたのは、20代の保育士の女性でした。新型コロナの感染が拡大した3月以降、同じ東京23区内に住んでいる彼氏と、映画館やレストランでデートすることができなくなったからです。
園の子供たちにうつす危険を考えると、自粛解除後になっても街をブラブラ歩く気にはなれません。レジャーホテルで朝から晩まで過ごすのが二人の定番になりました。
「神経質すぎるかもしれませんが、電車に乗ってきた服装でハグするのも怖い。まずシャワーを浴びて安心したいんです。会うときは、二人とも着替えを一揃い持ってくるようになりました」。
その結果、この二人の場合はセックスの回数がコロナ前より増えたそうです。
オンラインマガジン月刊TENGA第28号『コロナと性生活』に、貴重な調査報告が掲載されていました(https://www.tenga.co.jp/topics/15066/)。「平時と緊急事態宣言前後で、SEXの回数に変化がありましたか?」というアンケートです。
平時の月ごとのセックス回数で回答者を分けているのですが、多くの人はコロナ感染拡大前よりも回数が減っていました。ところが、「月20~29回のセックスをする」最もセックス頻度の高いグループだけが、自粛下でさらに回数が増えているのです。
女性向け性感マッサージのセラピストによれば、感染がはじまった直後にはオーダーが減ったそうですが、すぐに持ち直したばかりか、同じセラピストにリピートオーダーする傾向が出てきました。
「もともと女性は清潔を好みますが、衛生面の管理が完璧なセラピストでなければダメ、とおっしゃるお客さまが多くなりました」。
待合せ場所からホテルまでのルートもより清潔で景観のよい道を通る。除菌ジェルのプレゼントがあるホテルを知っている。そういうセラピストが好まれているそうです。
他人と食事をするのも消極的になってしまう状況下で、安心安全にセックスできる環境を提供できるパートナーの価値はどんどん高くなっているのです。
■そもそもSEXでコロナ感染するのか
3月以降、ひそかに話題になっていたのが「セックスでコロナはうつるの?」ということでした。
「対面にならないバックが最適」
「乱交パーティーに参加しなければ大丈夫」
など、いろいろ言われていました。感染症専門医によれば、ウイルスは精液ではなく、唾液や便に多く発見されるそうです。そこで、
○ セックスの前に必ずシャワーを浴びる
○ キス、オーラルセックス、アナルセックスは控える
という予防策が有効です。オーラルセックスに代わる前戯としては、ローションを使った手技やアダルトグッズの活用が必要だと思います。
でも、キスもしないというのは淋しいですし、どうやってムードに入っていけばいいの?と思いますが、
「だから決まった相手、同居している相手としかしなければいいのよ」
「毎日、一緒に食事している相手とだけキスもセックスもすればいいってこと」
という意見が、女性から多く聞かれました。考えてみれば、それは当たり前のことなんですね。決まった相手としかしなければ、新型コロナだけでなく性病も恐れる必要はありません。
戦後からずっとセックスは自由に、自由にと言われてきましたが、今回のパンデミックによって、肌と肌を重ね体液を交える行為は、とても価値の高いものだと見直されているようです。
性行為が許せる相手は特別な人、とても貴重な関係、と考える風潮は悪いことではありません。世界的な感染症との戦いで、カジュアルなセックスではなく特定の相手とサスティナブルな関係を築こう、というのが性の新常識になっていきそうです。
神田つばき プロフィール
離婚と子宮ガンをきっかけに、女性に生まれたことの愉しみを求めて緊縛写真のモデルとライターに。『東京女子エロ画祭』『大人の性教育勉強会』などのイベント主宰も。女性の健康とWLB推進員(NPO法人女性の健康とメノポーズ協会)、中級シニアライフカウンセラー(一般社団法人シニアライフサポート協会)として性の健康のために活動している。Twitter IDは@tsubakist