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安全運営徹底で、事業、資産、ワーカーのリスク極小化

都心オフィスビル|三菱地所プロパティマネジメント

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盤石の備えで迅速な初期対応

三菱地所プロパティマネジメント(MJPM)は、国際ビジネスセンター「大手町・丸の内・有楽町エリア」を中心に国内のオフィス・商業施設(184棟・861万u/2020年3月末時点)を管理運営する有力PM会社である。今回の新型コロナウイルス対策では、PM業界のなかで率先した取り組みを進めてきた。
時系列で振り返ると、日本で感染拡大が指摘される前の1月10日には、この1か月後大量に必要となったマスク・消毒液などを同社自らが一括で確保し、社員はもとより各ビルに配布できる体制を整えていた。現場で施設管理にあたるBM・FM会社、入居テナントにはウイルス流行への注意喚起を促していった。
2月には「新型コロナウィルス対策本部」を立ち上げ、各ビルにマスク・消毒液を配布するとともに、施設管理面では共用部における消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)での拭き取りやビルエントランスへの消毒剤設置、目的外の来館を制限するための動線制限、大手デベでは初めてとなる検温(丸の内ビルディング・新丸の内ビルディングで3月1日より)などを実行に移していった。
こうした感染防止に向けたMJPMの初期対応は、特段の遅延や混乱もなく、実に速やかに行われた模様である。「2009〜10年に流行したH1N1亜型インフルエンザの対応にあたった経験による感染症対策のマニュアルをベースに、今回の新型コロナウイルスについても遅滞なく初期対応にあたることができた」と話すのは、施設管理部 ユニット長の松尾嘉也氏だ。

主要管理物件の新丸の内ビルディング&丸の内ビルディング外観

写真:三菱地所プロパティマネジメント提供

テナント/オーナー/委託先との日々のリレーションが効力発揮

MJPMの新型コロナ対策のポイントは「安全」にある。すなわち、オーナーの利益を守り、テナントの事業継続性を保ち、ワーカーの感染リスクを極小化した安全な運営を続けられるかに重きがおかれた。「テナントの企業活動継続と、緊急事態宣言の主旨である感染予防対策の実行とのバランスをどう図っていくかをオーナーと協議し、最終的には入退館導線の一部制限や大規模商業施設の休業という決定に至った」と業務企画部 兼 施設管理部 伊藤侑希子氏は振り返る。
結果として閉鎖に踏み切ったのは、丸ビルや新丸ビルなどの施設内“ 商業床”にとどまった。これは商業床面積が1,000uを超える施設を対象とした東京都の休業要請に応じたものである。消毒やエントランスでの検温実施をはじめとした各種感染症対策は、PMサイドの働きかけだけではなく、テナントの理解と協力が欠かせない。協力要請に際し、テナントの中では、欧米に拠点をもち都市封鎖の惨状を目の当たりにしていた外資系企業の反応は早かったという。国内企業も、東京をはじめとした大都市の感染が顕著になるなかで積極的な協力があった。日々のテナントとのリレーション、良好な信頼関係が効力を発揮した格好である。
物件オーナーは国内外問わず、不動産会社やファンド運営会社などのプロ投資家のほうが、一般事業会社に比べ新型コロナウイルスがビル運営とくにキャッシュフローに与えるリスクに敏感であった。「テナントにはなるだけ長いお付き合いをしてもらえるよう、オーナーと密に連携しながらさまざまな提案を続けている」(リーシング推進室 兼 千代田営業管理部ユニット長 佐藤雅之氏)。
また「安全な運営」には、委託先各社の協力も必要不可欠であった。ビル管理業務の従事者には罹患リスクの高い年齢層も多く、清掃・除菌・警備などの作業実施時のリスクも健在化していたが、安全な作業方法の確立・備品の準備などで連携すること、日常から強固な信頼関係を構築していることなどにより、MJPMの管理物件では大きな混乱もなく対応できている。

コロナ後の市場を見据え床需要の変容に注視

緊急事態宣言が解除となった5月後半、MJPMが入居テナント宛てに実施した出社状況調査のアンケートにおいて、自由記述欄に同社の感染症対策について評価するコメントが寄せられた。6月に入り各社ともテレワーク体制が徐々に解除され、ワーカーの出社率は上がってきている。自主的に休業していた商業テナントも、多くが営業を再開した。しかしウィズコロナ/アフターコロナの世界にあって、テナントの賃貸ビルへのニーズは確実に変化してきそうだ。
テレワークの普及でオフィス稼働が弱含むという指摘がある一方で、テレワークにそぐわない業種・業態のテナント企業からは、フィジカルディスタンスを確保する必要性から床を借り増す動きも出てきている。ただし時代の趨勢として、オフィス床の存在が厳しく問い直されていることは確かであろう。「アフターコロナの世界では”わざわざ借りたい・出勤したい”と思わせる床づくりが何より重要となってくるだろう。当社がこれまで展開してきた保育所付コワーキングスペースや弁当の出張販売サービスなどのテナントサービスはもちろんのこと、テレキューブなどテレワークと共存していくための設備の設置まで、働き方の見直しに寄り添い、テナントやワーカーにとっての魅力や生産性を高める要素をふんだんに盛り込みたい」と業務企画部 ユニット長の櫛田知彦氏は話す。
MJPMでは今後リーシング手法も多様化させていく考えだ。昨年導入したVR技術を活用したバーチャル内覧システムはその一つである。感染症対策としてはもとより、地方企業への利便性向上策としても活用をさらに進めていく。
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