グループ力最大限に活用
良質資産獲得へ機会探索
私募REIT組成へ準備着々
興和不動産投資顧問(KIA)は、日鉄興和不動産傘下のAM会社。運用スタイルはコア型で、運用資産は都心部のオフィスビルが中心。中央金融機関、生損保などグループ親密先約30社を主要顧客に、運用資産残高(AUM)は約2,400億円(2023年1月時点)に及ぶ。
KIAの強みはグループ力を活かした良質な資産・投資案件のソーシング能力である。
日鉄興和不動産の首都圏・駅前再開発事業における大規模開発案件では、開発型ファンドを通じて資金調達を支援。日本製鉄グループなどの遊休地有効活用事業では、物流施設などのファンドを順次組成、首都圏及び関西圏を中心に複数開発が進行中であり、第3号ファンドまで組成を重ねている。物流施設は安定稼働後、今夏、組成予定の私募REITへ組入れる方針。
2022年11月には組織再編で私募リート部を新設済み。即戦力のAM経験者、PM出身の若手社員、設計・設備に強いベテラン技術者など多様な人材を積極採用中だ。
コア投資物件を“つくり上げる”
今後のソーシング戦略では、新たなアセットにもフォーカスする。主力の都心部オフィスビルは価格高騰中であり「既存投資家と協議し、コアプラス型へとリスク・リターン目線を調整」(取締役 私募ファンド部長 鵜澤伸崇氏)して物件獲得を継続させる。ひと手間を加えた“コア成り”を目指す戦略だ。「低稼働」物件の再生型ファンドや、再開発を前提とした築古ビルファンド、小規模オフィスビル(基準階面積60~70坪、30億円程度)などのファンドにも挑戦する。
将来的には冷凍冷蔵倉庫や特殊倉庫(危険物、プロセスセンター、クレーン付倉庫)、データセンターや研究開発施設など産業用アセットに投資対象を拡げたい考え。今後もグループ事業との連動性を意識しながら「顧客投資家にマッチした多様な投資機会を提供したい」と鵜澤氏は話した。