「季刊レジャーホテル」通信①
2020.04.28 発信
「ファーストキャビン」破産、WBFホテル&リゾーツ160億円負債倒産
4月24日に女性向けカプセルホテルの「ファーストキャビン」、27日には関西を中心に展開するWBFホテル&リゾーツ㈱と、ホテル業界にも「コロナショック」の荒波が押し寄せている。国内ホテルの稼動率は20~30%と、まさに壊滅的な打撃といえる。
それに対してレジャーホテルは、4月7日の非常事態宣言の発令後、東京、大阪などの大都市圏のウォークイン客中心のホテル集積地では、80%ダウンといった厳しい状況が報告される一方で、地方都市や郊外立地をみると、いわゆる「デリヘル需要依存型」の安売りホテルは50~60%ダウンとなっているものの、カップル客をメインターゲットに高品質な施設づくり・運営に取り組むホテルの多くが、20~30%ダウンと、厳しいながらも他の宿泊業態と比べると堅調に推移している。
レジャーホテルは「3密」回避のカップルのためのプライベート空間
政府は、外出自粛の理由として、「3密」の回避をあげている。
- 換気の悪い密閉空間
- 人が集まって過ごすような密集場所
- 不特定多数の人が接触するおそれが高い密接場所
の3点である。
一般の宿泊業態にあてはめると、フロント、ロビー、レストランなどが該当するが、対面接客を最低限に抑えたレジャーホテルの場合、そうした危険性は少ない。レジャーホテルは、カップルが「3密」の不安なく二人だけのプライベートな時間を、リーズナブルな料金で長時間楽しめるリラクセーション空間なのである。
もちろん、現在、集客を確保しているホテルの多くが、フロントや客室内での除菌用アルコールの設置や利用客の手が触れる部分の除菌消毒といったことを実施するとともに、そうした取組みを利用客に効果的にアピールしており、さらに、スタッフをコロナ感染から守るためのマスクや手袋の着用、バックヤードの除菌の徹底といったことに取り組んでいることも指摘しておきたい。
「コロナショック」を乗り切るための「攻め」と「守り」の戦略
今後、業界として取り組むべきなのは、「カップルのための安心・安全なプライベート空間」という他の宿泊業態にないレジャーホテル独自の優位性のアピールであり、さらに長期的な視点から、以下のサービス充実が考えられる。
- 予約システム・キャッシュレスサービス:「スマートチェックイン・チェックアウトシステム」の充実は、カップル客のホテル選択時の大きな訴求ポイントとして期待できる
- 「ロングスティアイテム」の充実:外出自粛によって遊び場所がなくなったカップル客が、客室内で長時間過ごせる設備・アイテム(各種アミューズメント、浴室空間など)は、そのホテルの差別化に直結する
大都市圏の大型のリニューアル物件の多くが、先行き不透明感から着工が先送りになっている一方で、地方都市や郊外立地では、戦略的なリニューアルに取り組む事例が報告されている。
「コロナ収束」後をも視野に入れた、現状のマーケット環境で行なえ得る最大限の「攻め」と「守り」の戦略が求められている。
季刊「季刊レジャーホテル」
編集長 金江 広
〈バックナンバー〉
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