造花・生花による季節ごとの演出で
ホテルのイメージアップ【春編】
㈱MICHALLON 代表
石川味季氏
◆春をイメージさせる花の演出。
新年が明けるともう気分はふわふわした春が始まります。1年を通じて利用されるお客さまは季節ごとに花を変えると「あれ?また綺麗になった」とメンテナンスに気がつき整備された高級な印象をもってくださいます。四季で「春」を代表する演出として適切な花は、水仙、チューリップ、桜が一般のお客さまにも伝わる花です。色で表現するなら、「ピンク」「黄色」の装飾が適しています。
美しい空間は、1年を通じて思い出となり、リピートにつながります。ここで、悪い印象(清掃不備、花や観葉植物のホコリ、ひどいのはカビ、虫です)をもった空間は二度と利用されません。リピート率の高い空間は、ここを徹底しています。良い印象を演出しているのです。「花を飾っていれば高級」ということはありません。花が汚れていると逆効果になります。高級感を意識したクオリティの高い装飾にしないと意味がないです。
空間のイメージアップの要素は、「美しさ」「高級感」「高揚感」です。もし、1年以上飾っている汚い造花があればすぐに撤収しましょう。そして季節ごとに花を変えて「美しさ」「高級感」「高揚感」を出しましょう。必ず装飾に似合ったお客さまがいらっしゃいます。
バレンタインなど、春のイベントに即した花の演出はリピート率だけでなく部屋に価値をつくり出します。
春には、カップルには欠かせない【バレンタイン】があります。日本では、女性が男性にチョコレートや甘いものを贈りますが、欧米では愛する人に男性が贈る習慣です。LGBTQをはじめ日本でもトランスジェンダーの認識が深まる現状は、バレンタインの取り組みも課題です。【愛】というテーマで特別ルームや記念日ルームに花の演出をすると、いままで来ていたお客さまとは違う層のお客さまが利用してくれます。花は、低コストで部屋のイメージをブラッシュアップさせるアイテムですが、クオリティの高いものを飾らないと高級感は出ません。
たとえば【愛】を花言葉にもつ【花の女王バラ】を部屋いっぱいに飾るなど特別感を出すときも、まるで本物のように見せる組み合わせが高級感につながります。花のディスプレイでも、同じような商品を扱っているのに、「高級に感じるお店」と「残念なお店」があります。それは、アレンジや花の組み合わせで決まります。自分で飾らず、プロに任せた方がいいでしょう。
広辞苑に【売り物には花を飾れ】という慣用句があります。売り物はよく見せるために美しく飾れという意味です。皆様の大切な空間のエントランスや入口も春の花にして、バレンタインなど春のイベントに即した花の演出をすることで、顧客の動線ができます。左右シンメトリーの設置は風水的にも最高に運気があがるといわれる配置です。
多くの歴史的建造物もシンメトリーです。外植栽は、外を歩く人が目を引く大切な要素です。ネガティブなイメージではなく、ポジティブな気持ちで入店できる明るい色遣いの植栽や、高級な王宮をイメージする器なども植栽の大切な要素です。入る時のワクワクした高揚感がリピートにつながります。
フロント周りや、ちょっとしたサイドスペースでも、花がセットされているだけで「おもてなし」を感じるものです。
石川味季 プロフィール
国家検定フラワー装飾技能士1級いけばな池坊准華督教授。イベントの花装飾とお花の先生を育てる協会の経営を26年。女性の団体をまとめている女性目線の専門家。DFAフローリスト資格認定協会会長 https://www.michallon.com