はいえ、自社会館のリノベについては、
前号(297)で特集した異業種施設からのコンバージョンに比べてそのハードルは低い。なぜなら、自社会館リノベ最大のメリットは、新たに出店候補地を探す手間が省けるからだ。そもそも、葬祭会館の開業にあたり最大のネックとなるのは建設予定地周辺住民からの反発だが、ロケーションが変わらない自社会館のリノベであればそうした声は上がらない。だが一方で、リノベ期間中は一般的に一時休館が前提となるため、その間の施行をどこで行なうかという問題が発生する。
この場合、葬祭事業者の選択肢は以下の4つ。
A)工期中は貸し会館・式場等で施行を促す
B)工期中は自社別会館での葬儀施行を促す
C)多層階、複数式場を有している場合、営業を継続しながら葬儀施行を実施
D)一時休館とし、その間の失注ロスについては年間目標から除してリノベを実施
多店舗展開を行なっている事業者であれば、選択肢Bを軸に据えながら計画を推し進めることができるが、1会館しかない事業者は必然的にAもしくはDを選択せざるを得ない。