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セカンドハウスのプロダクト分類

執筆|沢柳知彦 潟uレインピックス 代表取締役

  • ホテル
  • 複数拠点生活
 コロナ禍では、東京23区から郊外への人口移動、ワーケーション需要の増加、複数拠点生活者(デュアルライフ)の増加など、居住需要が変容した。それに伴って、需要の受け皿としての「セカンドハウス」開発がにわかに注目を集めている。
 セカンドハウスとは、一般に自宅以外の副次的居住拠点のことを指し、ホテルなどと異なり居室内に私物を置いておけることが多い(レンタルプール契約付きブランデッドレジデンスや会員制リゾートのように、不動産を所有していても居室内に私物を置くことが制限されることがある)。
 セカンドハウスと一口にいっても、貸別荘、分譲別荘、リゾートマンション、ブランデッドレジデンス、会員制リゾート、バケーションレンタルなどさまざまな形態が考えられ、利用者目線と事業者目線でも分類が異なる。また、旅館業法や住宅宿泊事業法に従う業態なのか、単なる不動産賃貸業なのか、というライセンスの観点からの分類もありえる。

 セカンドハウス関連施設の開発事業者の視点からは、利用者がどのような目的で利用しているのか、それを所有しているのか賃貸なのか、の違いによって開発するプロダクトが異なる。はじめに、利用者目線でのセカンドハウス分類を試みてみよう。分類の座標軸は、利用者が所有しているのか賃借(もしくは宿泊)なのか、居室内清掃やリネン交換といったハウスキーピングサービスが付随しているのか否か、とした。

利用者目線によるセカンドハウスの分類

 この分類方法によれば、別荘は分譲・賃貸を問わず、ハウスキーピングサービスが付随しているものとしていないものとに分かれる。ホテルブランドを冠しホテルサービスを付随させた分譲マンションであるブランデッドレジデンスは、ハウスキーピングサービスをオプションで付けられることが一般的だが、普通の分譲リゾートマンションには付帯しない。会員制リゾートは共有制・預託金制を問わずホテル営業許可を取得して運営されるため、ハウスキーピングサービスが付帯する。バケーションレンタルは貸し出す対象が別荘なのか自宅なのかを問わないが、一般的には家主不在型民泊のビジネスモデルをとっており、古民家の民泊ビジネスと同様のカテゴリーに属すると考えられる。
 サービスアパートメントは1〜6か月の契約期間が多いが、なかには1年以上の契約期間をもって反復継続的に訪れるサブ拠点としての利用が意図されていることもある。

保有するリソースとスキルセットによるプロダクト選択

  
 さらに、事業者目線によるセカンドハウス分類を試みる。事業者にとっては、そのビジネスモデルが分譲益を獲得することを主眼としているのか、運営キャッシュフローからの運営手数料で稼ごうとしているのか、によって分類する必要がある。また、リーシング(ないし宿泊勧奨)とハウスキーピングを継続的に提供する「運営事業」を行なうのか、マンションの管理人的に主に共用部の管理を行なうだけなのか、という運営負担についても必要とされるリソースが変わってくるため、分類の軸になると判断した。

事業者目線分類によるセカンドハウスの分類

  セカンドハウス開発事業者の視点では、会員制リゾート(共有制)、ブランデッドレジデンス、分譲別荘、リゾートマンションあたりが主な選択肢ということになるだろう。なお、会員制リゾート(預託金制)は不動産所有権を分譲するわけではないが、会員権販売益で儲けるという観点では、事業者は分譲リスク(売れ残りリスク)をとっているため、所有と分譲のボーダーにおいた。

 セカンドハウス開発事業者は、対象不動産が獲得しうるセカンドハウス需要の性格や自社のビジネスモデル(開発事業者か、運営事業者か)、保有するリソース・スキルセットなどを勘案して、上記のなかからプロダクトを選択することになる。
 なお、サービスアパートメントやホテルもセカンドハウス利用が考えられるが、開発段階でセカンドハウス利用をメインに据える場合には選択されにくいと考えられる。
(つづきは本書で)

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セカンドハウス開発・運用実務資料集

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