不動産CF市場のけん引役
ST市場参入、プロファンド市場と連携
機動力とソーシング力に強み
クリアルは、個人投資家向け不動産クラウドファンディング(CF)を事業軸とする独立系AM会社。2018年のCF事業開始以来、組成したファンドは129本に上り、約9万人の投資家から累計727億円を調達(2025年3月10日時点)している。CFの1件当たり規模は5~25億円。運用期間は平均2年。出口は主に自社運用の機関投資家向け私募ファンドで、100~200億円規模のバルクとして束ねて売却する仕組みだ。特徴は、厚い顧客基盤に裏打ちされた資金調達力の高さ。ファンド募集では毎回、即日~数日でほぼ完了する。


ホテルに全力投資、ST市場参入も表明
クリアルが運用するCFの投資対象は、賃料上昇余地が大きい資産。現在その筆頭がホテルで、とくにアパートメントホテルの取得に力を入れる。民泊分野にも着目、今春にはCF商品化した「CREAL premier神楽坂」で民泊運用を開始予定だ。
ホテル資産では、運営にも注力。2024年7月に子会社のオペレーター「クリアルホテルズ」を設立。「ファンド物件との運営契約はMC。賃料のアップサイドを投資家とオペレーターが分かち合う仕組みが投資家からも高評価」(代表取締役社長 横田大造氏)。
2025年1月には茨城県の臼木証券を子会社化(クリアル証券に改称予定)。これにより、第一種金融商品取引業のライセンスを活用したデジタル証券の取り扱いが可能となった。不動産ST商品やデジタル社債など新たな資産運用プロダクトを展開する計画で個人投資家やセミプロ投資家を対象に、「プロ市場で取引される30億円超の大型物件への投資を実現したい」(同)。
将来的には、オルタナティブアセット全般を対象としたファンドを組成し、CFやSTと組み合わせて展開する計画。「自社プラットフォーム上での販売を強化し、マルチアセット╳マルチプロダクト戦略の実現を目指す」と横田氏は話した。