不動産ファンドAM事業者総覧

不動産ファンドAM事業者総覧

系列活用で良質資産を獲得
リターン底上げへ労力惜しまず

都心部安定稼働物件に重点投資

 
興和不動産投資顧問(KIA)は、総合デベロパーの日鉄興和不動産傘下のAM会社である。現在の運用資産残高は約2,500億円で、運用スタイルはコア型が中心。運用資産はオフスビルと賃貸住宅を軸に、エンド需要が底堅い都心部一等地の安定稼働物件へ重点投資している。顧客(投資家)は中央金融機関、生損保などグループ親密先で約30社を数える。
 
AM会社としての強みは、投資機会のアレンジ力と不動産の再生・運営力にある。グループの日本製鉄、みずほ銀行に蓄積された不動産、金融分野の豊富な知見を活かせるためだ。

 

  
 

マーケトの変化に機敏に対応

 
目下、KIAでは都心部好立地の「築古」あるいは「低稼働」物件へ投資する再生型フンドの組成に着手している。理由は、都心部オフスビル、賃貸住宅の利回り上昇(価格高騰)によるコア型案件の不足を補うためである。「既存投資家と協議して、コアプラス型へとリスク・リターン目線を調整」(取締役 アセト・マネジメント第一部長 鵜澤伸崇氏)することで物件を取得。そこにひと手間を加え“コア成り”を目指すという戦略だ。これまでも、ビジネスホテルからオフスビルへのコンバージンや、稼働が低下した賃貸住宅のリノベーシン工事、リーシング強化などで成功実績がある。
 
今後の主力資産として物流施設への投資にも力を入れていく。親会社(日鉄興和不動産)では、オフスビル、マンシンに次ぐ第三の柱として物流施設開発を掲げ、日本製鉄グループ会社の遊休地活用などを含め、首都圏に限らず関西圏などでも開発工事が進む。KIAは竣工後、安定稼働したタイミングで取得機会を探る。202012月には同様のスキームで第1号フンドを立上げ済み。「今後もグループの内外を問わず案件を開拓し、顧客投資家のニーズにマチした投資機会を発掘したい」と鵜澤氏は話した。


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