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マーケット拡充の方向性と
サウナのある生活の定着への取組み

株式会社メトス

市場を俯瞰して業態の成長を支援
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社会の多様なシーンへ広がるなか、依頼元のコンセプト実現を支援
『「人」の「心」と「体」をあたためる』を企業ポリシーに、今年2月で設立75周年を迎えた潟<gス。同社のサウナ・温浴事業は、1966年よりサウナヒーター(ストーブ)の取り扱いを開始し、現在はサウナの施工をはじめ、温浴施設全体のゾーニングに関するアドバイス、水風呂等の設備・備品の取り扱いや新商品開発、研究にまで至る。昨今のサウナ人気によって、メトスにも多くの問合せが寄せられている。個人利用のプライベートサウナをはじめ、既存の温浴・スパ施設のリニューアルや、ホテル、サロン、グランピング、ジムなど温浴・スパ以外の既存施設への機能追加、そして最近開業が多くみられる会員制のプライベートサウナ施設などがある。そのなかで同社が注目するのは、サウナを通して達成したい目的を明確にもつ案件だ。たとえば、「SaunaTherapy(サウナテラピー)表参道」(本誌2022年5月号46ページにて紹介)や「レンブラントスタイル横浜関内」(後述)が挙げられる。
「この2件は、施主様がしっかりとしたコンセプトをもっていらっしゃいました」と語るのは、同社新規事業部マネージャーの佐藤えみ氏だ。
サウナテラピーは、日本初となる女性専用個室サウナとして、仕事や育児に奔走する女性がひと息ついて「自分だけの時間」を過ごす、スタイリッシュで居心地のよい施設がコンセプトだった。同社が注力したのは、デザイナーが創り出した透明感とフェミニンさをフィーチャーした空間に、いかにサウナを溶け込ませられるかというところだ。
レンブラントスタイル横浜関内は、既存のホテルのリブランドに伴ないプライベートサウナが導入された。「出張の多いサラリーマンにとって安らげる時間を創る」というテーマに基づき、貸切個室風呂から水風呂とシャワーを活用した個室サウナとすることが求められた。4部屋の個室サウナは平日の1人利用を想定した2人用を設置。内装も華美な装飾は避け、「コンパクトな空間に『あったらいいな』が凝縮されている」(佐藤氏)しつらえとなった。
「お客様に対しては、利用イメージの提案とともに、むずかしいものには助言したり、代案を示したりと、ご希望の実現のために安全性などの責任にも応えていきたい」と佐藤氏。そうした案件がふえているという。
「SaunaTherapy表参道」では、サウナ好きの男性も唸るハイスペックなサウナヒーターを用意し、女性の愛好家の期待にも応える
サウナブームを分析し、先を見据えたチャレンジを進行中
サウナマーケット全体の流れとして、日本ではこれまで医学的・健康面での効用に重きをおき、また比較的大型で不特定多数が利用する公衆的なドイツ式のサウナが温浴施設やサウナ専門店などに展開されていた。しかし現在では、伝統的に家族や少人数で、自宅などでプライベートサウナを楽しむフィンランド式へとトレンドが移り変わっている。個人宅用の売上増や、グランピング施設などへの導入による個室サウナの隆盛はその1つの表れで、小型サウナは現在の3〜4倍まで安定的にふえていくというのが同社の分析だ。
こうして小型サウナが国内で普及するほど、従来のサウナ施設が考えなければならないのは「自宅にサウナがある人でも来たくなる施設」ということだ。実際には数年かかるだろうが、健康面のエビデンスや体感・機能・空間演出も含めた新たなドイツ式サウナ施設の付加価値を確立することで、公衆的なサウナに再び人が集まると予測する。
また個室貸切型のサウナ店舗が急速に伸びている状況に対し、同社営業部、サウナ・スパプロフェッショナルの佐野貴司氏は「ブームと言われているが、昨年のデータではコロナ禍もあり、ユーザー人口は減っている」と懸念する。またコロナ禍の収束につれユーザーが他店に流れる可能性も指摘。それらを踏まえて、個室貸切型サウナの多くが採用している会員制の営業形態に期待する。この手法の原点はフィットネスクラブの月会費モデルだが、長く事業を継続させるには会員数を維持する必要がある。サブスク制によりある程度先まで経営の見通しが立てやすい点は、対策の検討にあたりポジティブな要素と同氏は考えている。
メトスが扱うフィンランドのサウナグッズブランド「rento」
さらに同社ではさらなるサウナライフの拡充に貢献すべく、日本初のサウナグッズ専門店「Metos Sauna Soppi」やECサイトでのサウナグッズ販売、またインスタグラムでの情報発信にも注力している。サウナハット・アロマ・ラドル(ひしゃく)・マットといったサウナグッズの人気は、以前は愛好家だけのものだったが、現在はライトユーザーにも広がっている。コロナ禍が落ち着けば、マイグッズを使うユーザーが各地のサウナ施設でみられるようになり、一般にもサウナグッズが広がっていくことでサウナ関連消費は大きな市場になるだろうと予測する。
多様なプロジェクトも進めている。福岡県の潟Oラノ24Kのブドウ園・ワイナリー・グランピング事業との連携では、メトスがお風呂とサウナが一体となったトレーラーハウス「スパセンター」と、トイレ付き宿泊キャビンを提供し、体験型宿泊サービスの試みがはじまっている。
アウトドアサウナの付帯アイテムとして、「ポータブル水風呂」も注目の新商品だ。100X電源で稼動し、バスタブ・チラー・コントロールユニットがコンパクトにまとめられ、海水での稼動も可能。ユニット一式で100万円と導入の敷居も低い。
主力であるサウナヒーターも、今後は細かくサイズを用意し、案件に応じた効率のよい電力消費やランニングコストの管理に貢献する構えだ。
施設事業者と利用者の双方に向け、サウナの可能性拡大に日々取り組むメトス。日常生活やレジャーシーンに今後サウナがどのように定着していくのか期待したい。

【導入事例】
最効率の温冷交代浴の環境を目指した
プライベートサウナ

レンブラントスタイル横浜関内
(横浜市中区)
2022年4月22日、JR関内駅より徒歩1分のホテル「レンブラントスタイル横浜関内」(運営:潟激塔uラントホテルマネジメント)にプライベートサウナ4室がオープンした。
ホテルは同社が21年12月に取得しリブランドオープン。地域にマッチした施設運営を目指すなかでビジネスとレジャーの客層に着目、また近年のサウナ需要の高まりを受け、旧ホテルで営業していた貸切風呂4室を個室サウナとした。
1室の広さは12.72u。浴槽やシャワーは既存の設備を活用し、防災上の規定に対応させたメトスのプライベートサウナを導入した。
開発にあたり、同社担当者は、「サウナ、水風呂、休憩といういわゆる『サ活』を、個室空間でいかに高い質で提供できるかという点にこだわりました。その一つにサウナと水風呂の温度を2種類設定しました。ビギナーや女性も楽しめる標準的な設定のスタンダードルーム(サウナ室80〜90℃、水風呂15〜17℃)と、熟練者に対応するストロングルーム(サウナ室90〜95℃、水風呂12〜13℃)です。まずは2種類の設定でスタートし、ご利用者の実際の声をうかがいながら、より満足度の高い運営を目指していきます」と話す。温度管理も4室一括管理とはせず、1室ずつに制御盤を設置し個別に設定できるようにした。
利用時間は1回80分で、1室の利用は最大2人まで。料金は平日2,480円、土日祝2,980円(いずれも税込、1人当たり)に宿泊やショートステイ、デイユースの客室料金が加算される。
利用者の想定は、出張のビジネスマンや週末のレジャー利用客、横浜周辺のデイユース利用者で、仕事前の早朝のサウナ利用にも対応すべく営業時間は5〜24時と、幅広いニーズに対応する。
リニューアル費用は非公開だが、水回りの設備を活用できたこともあり、同規模の施設投資よりも抑えられたという。同社では今回の取組みを参考に、系列ホテルへの設置も検討したいとしている。
限られた空間が広く見えるよう、備品や設備はコンパクトに、同系色で壁掛けなどにまとめた。サウナ室のドアも全面ガラス張りとした

問合せ

潟<gス
東京都中央区築地6-16-1
築地616ビル
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