コロナ禍において各分野で新サービスが続々と登場したオンライン活用だが、なかでも「オンライン宿泊」は、その名称から受け取る意外性はトップクラスではないだろうか。
オンライン宿泊を展開する和歌山県那智勝浦町のホステル「WhyKumano Hostel & Cafe Bar」(以下、WhyKumano)は、2019年7月に開業。最大4人が宿泊できる個室1室、定員12人のドミトリーを備え、またラウンジ&カフェ・バーも付帯し宿泊者同士の交流を促進する。オーナーの後呂孝哉氏は電機メーカー勤務などを経て、「地元である熊野エリアの魅力を広めたいと考え、また宿泊者同士が交流できるようなゲストハウスもエリアにほとんどなかった」(後呂氏) ことをきっかけとしてWhyKumanoを開発、オープン後は平均稼動率5割以上と比較的順調な滑り出しだったという。
しかし、20年4月から新型コロナ拡大の影響が現われ、宿泊予約は瞬く間にゼロになった。インバウンド比率が7、8割と大きかったことも影響したようだ。
「通常の予約キャンセルとは異なり、お客さまが"施設に行きたくても行けない"という思いを抱えながらステイホームされているなか、ゲストハウスとして何か取り組めることはないか模索していた」と後呂氏は振り返る。そうしたなか、偶然YouTubeで目にしたのが「オンライン銭湯」。銭湯でお湯が流れる様子を映した動画が、投稿されて2日ほどで2万回以上再生されているのを目にし、オンライン宿泊の実現可能性を感じたという。