今年は、東京オリンピック・パラリンピックと開催日が重なる大会は警備の人員確保がむずかしく、(公財)日本オリンピック委員会からの要請もあり、一部は当初から中止・日程変更をしていた。しかしそうした前提を踏まえても、コロナ禍による打撃は大きく、鞄本経済研究所の試算によればコロナ禍を要因に中止した全国の花火大会は約850件、観光需要を含めた経済損失は1兆0,400億円超にものぼる。
こうしたなか、「熱海海上花火大会」(静岡県熱海市)は打上げ時間を従来の30分から15分に短縮したうえで8月から打上げを再開した。「わずか15分のために外出するのは面倒」((一社)熱海観光協会 担当者)という心理で密を避ける狙いだ。そのほか大会そのものは中止となったが、サプライズでゲリラ的に花火を打ち上げるものや、花火事業者支援のためのクラウドファンディング、「死者の魂の慰霊と疫病退散を祈願するイベント」としての花火の本来の意味を見直す動きも活発化した。