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効率化・省力化による新たな運営体制を構築

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福島範治氏[鹿沼グループ 代表取締役社長]に聞く

年内に回復のきっかけをつかみ、来年以降、反転攻勢に

 当社では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月はじめに「緊急経営方針」フェーズ1を作成し、全社で共有を図りました。緊急事態に際して、事業を継続し、雇用を守り抜くこと、そして財務面の手当てを念頭においた内容です。
 特に、財務対応については早急に取りかかり、政府系金融機関をはじめとする低利融資の実行に加え、雇用調整助成金、持続化給付金などの申請を進めました。
 緊急経営方針はフェーズ1に続き、事業継続のための具体的な計画としてフェーズ2、需要反転に備えた事業再興計画としてフェーズ3、その後、アフターコロナの社会におけるゴルフ場の新たな経営ビジョン、事業戦略と位置づけるフェーズ4の4段階で考えており、新型コロナによる影響が軽微な場合にはフェーズ1からフェーズ3へとジャンプし、需要回復を急ぐことも想定しておりました。ただ、実態は予想をはるかに上回っていました。
 「鹿沼カントリー倶楽部」をはじめ当社のゴルフ場が立地する栃木県は当初、感染者数の増加があまりみられなかったこともあり、集客数の落ち込みはほとんどなかったのですが、4月7日に緊急事態宣言が発出され、16日に全都道府県が対象になったことで予約のキャンセルが相次ぎました。
 多方面から情報を収集し、分析した結果、ワクチンが完成しない限り感染者数は増減を繰り返し、それに応じて感染予防対策も強化と緩和を繰り返すことが見込まれると判断。ワクチン完成まで早くても来年いっぱいかかると見込み、ウィズコロナにおける経済活動は長期化することを覚悟したのです。
 大型連休中の5月4日、緊急事態宣言が5月末まで延長されたこともあり、長期戦を見据え、フェーズ2を2度改定したうえで、年内を最悪期から需要回復のきっかけをつかむ期間と捉え、21年1月以降を、反転する需要を獲得し再び安定した経営を実現する期間と位置づけることにしました。

省力化を新たな施策に結びつける

鹿沼グループ 代表取締役社長 福島範治氏
 フェーズ2では、コースの休業こそしないものの、需要が減少していることを踏まえ、従業員の休業促進による省力化オペレーションと、コスト削減によるいわば「低空飛行」での事業継続を重視したのです。「3密」回避が求められたこともあり、予約段階で組数をある程度制限させていただき、スタート時間は通常より余裕をもたせるなど、省力化オペレーションでも十分に対応できる状況でした。
 マネージャー以下の従業員には、4月25日〜5月15日は月間6日以上の休業をお願いしました(コース管理の従業員は別途設定)。1.0か月の休業補償を約束し、差額分は助成金などを充当し当社で全額補償しています。5月16日以降は、月間で一般社員10日間、パート社員・キャディ12日間、6月16日以降は予約の回復状況に応じて月間で一般社員6日間、パート社員・キャディ8日間に変更し、部門を超えたシフト編成を敷いています
 4週8休から4週18休へと切り替え、従来の3分の2程度の体制によるオペレーションに対して、現場では当初戸惑いもあったようですが部門間のサポートを通じて徐々にマルチタスクにも慣れてきたのではないかと感じているところです。
 業務の効率化については、「新しい生活様式」に基づいて、対面サービスの一部を機械化したり、省略したりするなどの変革も検討しています。ウィズコロナでは、対面による直接的なおもてなしが必ずしも正しい手法とは限りません。
新型コロナ以前に戻すことを考えるのではなく、ゴルフ場経営における新たなサービスのあり方を模索していきたいと思います。
省力化の狙いは、なにより事業継続にありますが、もう一つ、新たな施策を生み出すためのチャンスと捉えています。
今後もこうした取組みを継続し、業務改善に結びつけるとともに、一部業務の機械化などを進めることで、さらに余力を生み出し、従業員が新たな施策に取り組める環境を整えたいと考えています。それが、当社ゴルフ場の差別化へとつながるはずです。(続きは本誌で)
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