こうしたなか、葬祭会館に直接訪れるには抵抗感を覚える“これから客”が潜在的にもつ敷居の高さを少しでも低減しようとする開発形態が見受けられるようになってきた。それが、本特集で取り上げる事例である。
各社の取組みについては本誌を参照していただくとして、複合アイテムとなった業態をみると、カフェ、フラワーショップ、レストラン、そして美術館となっている。前述した仏壇・仏具店に比べると、一見して葬儀との親和性は高いとはいいがたい。しかし、各社の取材をとおしてみえてきたのは、葬儀との親和性に重きを置くのではなく、消費者の日常生活シーンに溶け込んだサービスを提供することで、“葬祭会館に行くのではなく、日常シーンにおける一幕の提供”に主眼を置いていることがわかる。しかも、各社とも葬儀施行受注やイベント開催時の集客力アップにつながっているのだ。