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小規模化の流れを受け多様化する転用手法

 現在の会館ビジネスはどのような方向に向かっているのだろうか。小規模会館であることは、近年の開発動向をみれば明らかだが、その開発形態にはある傾向が読み取れるようになってきた。具体的には、
@異業種店舗からのコンバージョン
A自社会館のリニューアル・リノベーョン
B他社会館から自社会館への転換、さらには会館の価値を再構築するリブランディング
である。

 つまり、新築にこだわることのない新たな開発手法の台頭だ。そこで本誌では、今号から3号連続で多様化する会館開発手法について特集を組んでいく。第1弾となる今号では、近年、開発形態のなかでも多く見受けられる「他業種からのコンバージョン」を取り上げることにした。

スタンダート化したコンビニ以外からの転用も視野に

 ケーススタディでは5社の事例を取り上げているが、今号ではあえてコンビニエンスストア(以下、コンビニ)からのコンバージョン事例を外している。その理由はただ1つ。コンビニ転用の事例は近年数多く出現しているからだ。

 一般的なコンビニの店舗面積は50〜60坪とされている。そして、この規模がまさしく、近年の小規模葬会館のフォーマットとして最適だと認知されたことにより、コンビニからのコンバージョン事例が全国各地でみられるようになった。加えて、改正建築基準法により延床面積が200u以下の場合には、建築確認申請が不要となったことも大きく影響したことがコンビニからのコンバージョンを増大させた最大の理由だろう。したがって、コンビニからのコンバージョンは、葬祭業界においてはもはやスタンダードなものであり、各社がこぞってコンビニ跡地を狙っているのもそうした理由からである。

 しかし、コンビニ以外からのコンバージョンに目を向けてもいいはずだ。理想は居抜き物件。余計な柱や壁もなく、スケルトン状態となったとき、諸室配置をはじめとする設計が容易な物件であれば、コンビニにこだわることもない。また、これまで出店することのできなかった立地での展開も可能性が出てきた。それはコロナ禍によって多くの路面店が撤退し、空きテナントが多く出現したことに由来する。コロナ禍は国内の経済活動を停滞させる一方で、新規出店を狙う企業にとっては、豊富な退店物件情報をもたらしている。したがって、今後、新たな会館展開を検討するのであれば、画一化されたコンビニではなく、他の物件に目を向けるのも一考だろう。

 ケーススタディ5社の事例では、飲食店、スーパー銭湯、カーディーラー、美容院、銀行、スーパー、CDレンタルショップといった異業種店舗からのコンバージョンを取り揃えた。各社とも、そこに何らかの意図をもち合わせた出店戦略に基づく会館展開である。
(ケーススタディは本誌で)
月刊フューネラルビジネス
2021年8月号

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