各地域・都市の将来展望は明暗を分けているといえるが、どのような状況下に置かれても経営者は、シェアをいかに拡大するか(水平展開)、あるいはサービスクオリティをどう上げるか(垂直展開)、といった中長期的な戦略ビジョンを立て続けなければならないことだろう。
より深刻にならざるを得ないのは、縮小市場の都市にある事業者だ。多くの競争戦略やマーティング戦略、顧客獲得戦略などは、拡大市場下のなかで成長の原動力となるよう生み出されてきたものといえる。したがって、拡大市場にある都市にある事業者とでは、おのずと出店計画や商品開発、サービス展開は、言わずもがな異なってくるからである。
しかも、ここにきて新型コロナウイルスが葬祭業に与えた影響も大きく、「withコロナ」を経た「コロナ後」の葬儀はいままでと同様というわけにはいかない。本誌6月号(No.283)の緊急特集でも、「会葬者が減少している」とアンケートに回答した事業者は8割にのぼっていたことから、葬儀規模の縮小・簡略、一日葬や直葬の増加、通夜振舞いなど飲食機会の省略等は、国が提唱する「新しい生活様式」が今後生活者に浸透していくとともに、もはや避けられないと捉えるべきだろう。
そのとき経営者が問われるのは何か。それは、自社が生き残っていくための、変わる時代に合わせたしかるべき進化の方法を早急に模索し、フレキシブルなマインドをもって行動に移すことが大切なのはいうまでもない。
今回、地域別の将来推計死亡数からピークアウト年次に着目して各都市を類型化したが、このデータの読み取り方は1つではなく、着目点や見方を変えれば、今回紹介した以外の法則や特徴が読み解れることだろう。
コロナ後の新しい行動様式ならぬ「新しい事業様式」を模索するにあたり、この地域別将来推計死亡数が、今後の戦略ビジョンの立案に少しでもお役に立てれば幸いである。