しかし、2022年以降の3年間は団塊の世代が後期高齢者入りをする後期高齢者数急増期である。直面する、このコブを乗り切ることが課題である。この意味で今年4月からの第8期の介護保険事業計画は重要であり、保険者である市区町村の賢明な舵取りが望まれる。
その第8期の最大の不確定要素は新型コロナウイルス感染症の蔓延である。昨年は2月以降、このパンデミックに振り回された1年であったが、残念ながら現段階で収束の見込みが立っていない。ある程度の長期戦を覚悟しなければならないだろう。
欧米では新型コロナによる全死亡に対する介護施設での死亡の占める割合が高い。スウェーデンでは72%、スペインでは68%という高率である。WHO事務局長は、多くの国では死者の40%以上が長期介護施設であると注意喚起している。これに対し、日本では13%にとどまっている。わが国の介護施設は、施設内の感染防止について世界に誇るべき成果を上げているのだ。わが国の高齢者施設は、毎年インフルエンザ感染防止に追われ、努力してきたことが貢献していると思われる。今後ともこの成果を維持していくことが何よりも重要である。