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三井不動産・日鉄興和不動産

街づくり型物流施設
「&ドローン」「&防災」で付加価値

【試し読み】TOPIC|国内大手の戦略

日本製鉄の工場跡地を再開発
希少性高い用地を有効活用

 三井不動産と日鉄興和不動産は2024年10月、東京都板橋区に都内最大規模のマルチテナント型物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」を竣工した。敷地内にドローン実証実験施設や区立公園、水害時の防災拠点となる高台広場や緊急一時退避場所などを併設する、街づくり型物流施設だ。
 
 開発地は日本製鉄の東京製造所跡地。駅近かつ工業専用地域という、23区内でも特に希少性の高い立地である。2021年2月に日鉄興和不動産がこれを取得したことでプロジェクトが開始。事業パートナーに三井不動産を迎え入れた。
「再開発事業での共同実績が多く、物流事業における開発実績やリーシングノウハウの豊富な三井不動産と協業することで、フラッグシップ案件に相応しい事業推進を目指した」(日鉄興和不動産 開発企画本部の池田智氏)。

 
MFLP・LOGIFRONT東京板橋

MFLP・LOGIFRONT東京板橋
都営三田線「西台」駅から徒歩約10分

官民連携で地域課題を解決

 東京板橋は地上6階建て、延床面積約25万㎡の規模。ヤマト運輸など5社が入居し、ほぼ満床で稼働している。立地の強さはもちろん、都心ながら広大な床を占有できる(ワンフロア約3万3,000㎡)点が評価されたという。賃料は周辺の新築物流施設を上回る水準で成約しているそうだ。
 
 特筆すべき付帯施設としては、ドローン実証実験施設「板橋ドローンフィールド」が挙げられる。施設内の一部区画をR&D区画として賃貸するほか、屋外にはドローンポートやデモ飛行用のネットフィールドなどを併設したものだ。すでにブルーイノベーション、KDDIスマートドローンといったスタートアップやアカデミアなどが入居するほか、時間貸しによる開放で多くのドローン事業者が利用している。ラストワンマイル配送や労働力不足、災害時の支援物資輸送・被災状況の把握など、社会課題の解決が迫られる物流業界でドローンの利活用を後押ししたい考えだ。
「物流施設ならではの広い敷地を活かすことで、入居テナントのオフィスと実証実験場を一体化。効率的に事業のPDCAサイクルをこなせると好評を得ている。今後は実証実験やカンファレンスを定期的に企画し、事業者同士の交流を支援する。いずれドローン配送や施設内のインフラ点検飛行の実証実験など、物流分野や不動産管理事業とのシナジーを形にしたい」(三井不動産 ロジスティクス本部の小菅健太郎氏)。

板橋ドローンフィールド
ドローンポートやネットフィールドを用意

 このほか地域に開かれた場として、敷地内に遊具を設置した公開空地(約9,000㎡)を提供するほか、隣接地の板橋区立舟渡水辺公園と一体となった高台広場を整備。また、水害時には緊急一時退避場所として地域住民を受け入れるほか、支援物資の輸配送拠点として機能する「板橋区災害時配送ステーション」を配置した。

 

 これらの取り組みは、板橋区との官民協議によるもの。日鉄興和不動産は用地取得以後、開発を通した地域の課題解決策について協議を重ねてきたという。
「協議を通して、防災拠点の整備、地域に開かれた場の整備、産業機能の拡充の3点に絞り地域貢献を進めることとなった。とくに至近を流れる河川の水害リスクが大きく、地域の防災拠点として必要な機能・設備を用意した。産業機能については、防災分野、物流分野との親和性の高いドローン技術の発展を後押しする機能が適切と判断した」と池田氏。「敷地内の緑地や広場、フットサルコートには地元の親子連れや小学生などの利用がよくみられる。一般的な物流施設は安全性の観点から閉鎖的な施設計画とせざるを得ないが、地域に開かれた場としてうまく機能転換できているのでは」(同氏)。

 

(三井不動産・日鉄興和不動産両社の今後の展開は本誌で)

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