サステナブルスター/東京ガス
東京ガスが提供。電気、ガス、水道といった請求書データを入力するだけで、GRESBなどESGレポーティングの書式に合わせシートを自動生成してくれるクラウドサービス。
不動産AM会社を中心に約40社が採用しており、GRESB対応のESG経営支援サービスではトップシェアを誇っている。
「サステナブルスター」(以下、ブルスタ)の導入で、AM会社は業務効率とESGスコアの双方を改善できる。
業務効率改善では、年々複雑化するESG関連報告にかかる計算や各種フォーマット対応の手間を省ける。入力画面はExcelに近い仕様で直感的な使いやすさを確保した。排出係数設定や熱量換算、Scope1~3分類はシステム上で自動化。GRESBをはじめ省エネ法、温対法、GHGプロトコルなど、AM会社が関与しうる主要なイニシアティブや法令はすべてカバーしている。またクラウドサービスであることから、PMやBMなど各関係者が同時にデータを閲覧・編集でき、課題点の共有や設備の修繕・交換に関する意見交換を円滑化できる。採用企業のなかには業務時間が1/10に短縮された事例もある。
「大規模で大量の物件を運用し、膨大な運営データが発生する会社ほど処理時間を圧縮できる。また、ESG専門部署を置けないほど少人数体制の会社も無理なく業務を回せるようになる」(ソリューション共創本部 脱炭素化支援事業グループ サステナブルスター事業責任者の新谷圭右氏)。
ESGスコア改善では、Scope3にあたる住宅専有部の電気とガスの使用量データを自動取得・入力でき、データカバレッジの向上によるスコアアップにつながる。電気使用量は、東京ガスグループの契約データおよび電力データ管理協会の保有データにより全国のほぼ100%をカバー。ガス使用量は、同社グループの契約データにより首都圏の60~70%程度をカバーする。採用企業のなかにはGRESBレーティングが2段階アップした事例もあるとのこと。
ブルスタがAM会社から高い評価を受けている理由は、上記の機能だけではない。東京ガスによる手厚いカスタマーサポートもその一端を担っている。
具体的には導入企業の運用実態にあわせたマニュアルの作成、東京ガスの専任担当者によるお悩み対応、PM会社(延べ100社以上)向けの操作レクチャーなどがある。「お決まりの機能のみを提供する“お仕着せ型”のサービスではなく、不動産ESG分野の専門人材による顧客に寄り添う“ 伴走型”のサービスが特色」(新谷氏)。
利用者の声にはスピーディーに対応する姿勢を打ち出しており、細かい仕様変更を含め月4~5回のアップデートを実施している。また、国内唯一のGRESBパートナー企業であるCSRデザイン環境投資顧問とアドバイザリー契約を締結。法令改正や制度変更などESG関連の最新動向をキャッチアップできる体制を構築している。
他社のサービスからの乗り換えに伴うデータ移行もお手のものだ。主要5、6社のサービスからのデータ移行を一通り経験、それに伴う業務フローや所要期間も把握していることから、導入企業にとっての大きな安心感につながっている。
基本利用料金は、先述のカスタマーサポート込みで月額15万円からで物件数に応じて変動する。基本機能の拡充に伴い、リリース当初の料金から改定したにもかかわらず、従前と変わらないペースで契約を獲得できているようだ。
東京ガスは、ブルスタのさらなる機能拡張を進めていく。データ入力にまつわる負担を極力なくしていけるよう、すでに電気・ガスの請求書をAIで読み取る機能や住宅専有部のエネルギーデータ自動収集機能をリリースしているが、今後はさらにデータ自動収集範囲を拡大していくほか、水道や廃棄物のデータ入力を効率化する方法も検討中だという。
さらに、脱炭素目標達成に向けた具体的な打ち手を検討できるよう、物件ごとのエネルギー消費量のベンチマーク比較、ポートフォリオ全体の脱炭素実現に向けた削減ロードマップ分析といったオプション機能の実装も計画している。
「ブルスタが目指す先は、ESG戦略の現状把握から開示、そして分析から実行までをカバーするプラットフォームとしての姿。AM会社はESG対応のレベルアップという投資家の要求に早期に応える必要にあるが、ブルスタがその一助になれれば」と新谷氏は結んでいる。
当社は、運用する上場REITと私募REITで、サステナブルスターを活用しています。導入のきっかけは、上場REITの合併に伴い、各REITで個別に対応していたエネルギーデータの集計業務を統合する必要が生じたことでした。これを機に、私募REITも含め、当社全体の取り組みとしてデータ集計システムの見直しを進めました。
サステナブルスターを選んだ理由は、REIT業界向けに開発されたシステムである点です。運用業務においては、各種イニシアティブへの対応やGHGのスコープ別集計など、ESG関連業務が複雑化していました。サステナブルスターは、社外のコンサルティング企業と連携して開発・運営されており、法令改正や関連団体のルール変更にも速やかに対応できることも導入を後押ししました。
これまでは、法令対応や開示対応など、要求される場面ごとにデータの集計・加工を行っていましたが、サステナブルスター導入により作業が一本化され、業務負荷が大幅に軽減されました。導入前のトライアル期間中には、システムの利用方法や集計方法に関する細かな疑問点をその都度確認しましたが、東京ガスの的確なサポートにより、不安なく導入を進めることができ、現在では円滑に各種報告を行えています。
導入から1年が経過した現在、住宅専有部の電気・ガス使用量データの自動取得機能の提案を受け、本年4月ごろから活用を開始する予定です。当社の課題を踏まえて、適切なタイミングで新機能の提案があり、今後もシステムの機能改善や拡充を進めることで、サステナブルスターがエネルギーデータ集計業務のさらなる効率化・高度化を担っていくことを期待しています。
(加藤丈士氏 上場リート本部 資産運用第一部 兼 サステナビリティ推進部 シニアマネジャー)
サービス概要 | |
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サービス名 |
サステナブルスター |
導入アセットタイプ |
オフィス、住宅、商業、物流、ホテル |
導入対象 |
AM会社、デベロッパー、オーナー |
導入メリット |
投資家アピール、業務連携 |
連絡先 |
東京ガス ソリューション事業推進部(サステナブルスター担当窓口) |