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テセウス・データ・レーク/ASA Platform

計数管理データを可視化するファンド業界のERP

ASAグループ傘下のASA Platformは、不動産ファンド業界の業務効率化を支援するデジタルプラットフォーム「テセウス・データ・レーク(TDL)」を2025年4月にリリースする。
PM会社が収集した物件の財務・非財務情報を、運用会社による予算策定や会計事務所による会計処理にシームレスに連携させるSaaSで、複数の検証機能を備え、「真」のデータを格納することでデータの齟齬や二重入力を排除し、業務効率を大幅に向上させるシステムだ。

【特色】業務効率化の知見を結集したTDL

 TDLは、従来のAM・PM業務では複数のシステムで個別管理されていた物件データと会計データを一つのプラットフォームに統合、リアルタイムで情報共有する仕組みを提供するERPである[図表]

 従来の業務フローでは、PM会社がPMレポートを作成、それを基に会計事務所が会計レポートを、運用会社が予算を策定し、投資家レポートを作成していた。「各社が独自のシステムやエクセルシートを使い、それらを手作業で統合するムダが常態化。PMレポートにひとつのミスが生じれば、齟齬が多方に拡大、結果、修正作業に膨大な時間と労力を要していた」(ASAPlatform 代表取締役の谷美由紀氏)。

 

 この課題は新リース会計の導入でより深刻になると思われる。例えば現行の業務フローでは、PMレポートからフリーレントや段階賃料などのリースデータを正確に取得できないことが多い。「このままでは新リース会計基準への対応が難しくなる。その結果、PM会社と会計事務所のやり取りが増加し、現場の負担は増大するだろう。会計と連動しないシステムの利用は、業務効率だけでなく正確性の観点からもリスク要因となる」(谷氏)。

 

 TDLは、会計と不動産の両視点から、物件情報、会計・財務、借入金、エクイティ出資、鑑定情報をモジュール化してデータを管理、各モジュールのデータを掛け合わせて生成される開示資料の基礎となるデータブックを自動生成することを想定。運用会社はデータブックを生成する時間を節約し、データブックを活用した投資家との対話に時間をかけることが可能になる。

【展望】他システムからの移行支援も手厚く

 TDLは2025年4月の正式リリースを前に、現在テスト導入を進めている。導入プロセスは、「まず運用会社が導入を決断し、PM会社に利用を促す」(谷氏)。一般に、運用会社主導で新たなシステムを導入する場合、PM会社側で新システムへの戸惑いが生じがちだが、ASAグループ内で、TDL利活用のための講習や、システムの移行支援サービスを提供する事で、導入ハードルを引き下げている。

 

 主要顧客は、上場/私募REITの運用会社を想定。REITは運用物件・テナント数が多く、半期ごとに決算短信や有価証券報告書の作成が求められる。また、物件の取得・売却に関する開示業務も発生する。「細分化された組織体制を持つ運用会社ほど導入効果が高い」(谷氏)。
 複雑な投資スキームを持つ外資系運用会社もターゲットとする。「例えば、日本で投資を行うシンガポール籍ファンドで、親会社がアメリカにあるケースなど。複数の会計基準によるレポーティングがあり、その期限が厳格なケースも多く、TDLによる業務負担の軽減がより期待できる」(谷氏)。

 

 なお、TDLのリリースは段階的に進められる。第1弾として2025年4月に会計およびペイメントモジュールを導入。同年10月にプロパティマネジメントモジュールを、2026年1月に予算策定・管理のバジェットモジュール、2026年3月には借入金管理を担うデットモジュールを順次リリース予定だ。SaaSの特性を活かし、ユーザー要望に応じ機能追加も実施していく。

 

 日本に不動産金融マーケットが根付いて約25年経過し、現役世代が高齢化、若い人材流入は少ない。業務標準化せず属人的な業務が多いことがその理由だ。その意味からTDLは後継人材の育成に期待できる。「TDLの導入でデジタル・インフラを整え、業界全体の非効率性やタイムラグを解消したい。結果、業界の未来を担う次世代リーダーがより付加価値の高い業務に集中し、将来の業界の発展に貢献されることを願う」と谷氏は話した。

粟国 正樹 氏(右)
ASA グループ 代表
谷 美由紀 氏(中)
ASA Platform 代表取締役
清水 健一 氏(左)
ASA リートパートナーズ 取締役
サービス概要

サービス名

テセウス・データ・レーク

導入アセットタイプ

オフィス、住宅、商業、物流、ホテル

導入対象

運用会社、PM会社

導入メリット

投資家アピール、業務連携

連絡先

ASA Platform
TEL:03-3560-5177

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