VIEWPOINT|マーケットに聞く
J-REIT各銘柄が2022~24年に取得した物件の詳細を分析した。
取引件数・金額規模を23年と24年で比べたところ、住居と商業施設はともに増加。
なかでもホテルはコロナ前の水準を上回るほど取引規模が急拡大している。
本稿は、「住居」「ホテル」の分析結果を抜粋する。
3年間の取得件数は312件。合計金額は5,375億円、中央値は13億円だった。最大は105億円、最小は3億円。キャップレートは中央値3.8%、最大5.5%、最小3.0%だった。
関東の取得件数は191件(全体の61.2 %)、合計金額は4,030億円(同75.0%)を占める。近畿は56件(同18.0%)、合計715億円(同13.3%)。中部は31件(同9.9%)、合計274億円(同5.1 %)。九州は17件(同5.4 %)、合計208億円(同3.9 %)となった。
取得額とキャップレートの中央値は、主要5区が22億円・3.4%、東京23区が18億円・3.6 %、関東が12億円・3.9 %、近畿が10億円・4.0 %[図表]。
キャップレートの中央値は、中国、北陸、四国が4.9%と最も高い数値となっている(ただし、中国の取引は1件のみである)。
主要5区を含む23区でみると、取得額の中央値は新宿(48億円)、杉並(32億円)、中野(24億円)の順に高い[図表]。この3区が突出しているのは、取引件数が3~6件と少なく、最大84億円の高額物件が含まれているためだ。
キャップレートは中央(3.3%)、新宿(3.4 %)、中野(3.4%)、港(3.4 %)の順に低い。昨年結果(21~23年)に引き続き、23区では江戸川を除いてすべて4%を下回った。
取得時点での築年数ごとに取引件数をみていくと[図表]、築2年以下が合計141件と全体の74%が集中し、特に東京23区の物件で築浅志向が強い。スポンサーが開発した物件を竣工後ほどなくして取得するケースが多いものとみられる。
このほか、築7年前後、築15年前後にも小さな山が確認できる。前者は築年数を重ねても安定したトラックレコードが確認できる物件、後者はファンドバブル期でストックの多い2006~08年に竣工した物件が該当するようだ。なお、川崎など都心郊外エリアでは築30年以上の物件でも数件の取引がみられる。
金額ベースでは2022年が1,592億円、23年が1,570億円、24年が2,228億円。件数ベースでは22年が92件、23年が101件、24年が119件だった。24年は金額、件数ともに22、23年を大きく上回っている。都内を中心にインフレやベア(賃金上昇)の傾向が強まったことで賃料などの収益力が向上、コア系のみならずバリューアッド系の投資家にも好まれるようになってきたことが背景として推察される。
取得件数は3年間で95件、合計金額は5,882億円と件数、金額ともに2021~23年のデータから約2倍の水準に急伸長した。中央値は41億円(1,600万~403億円)、キャップレートは4.5%(3.0~6.2%)だった。
タイプ別にみると、フルサービス型は12件、合計1,010億円。宿泊特化型は68件、合計3,261億円。リゾート型は15件、合計1,610億円。いずれも大幅に数値が伸びる結果となった。
九州(沖縄含む)が1,547億円(全体の26.3%)と最も金額が大きい。次いで近畿が1,301億円(同22.1 %)、東京主要5区が882億円(同10.3%)となった[図表5]。
フルサービス型の取得額の中央値は53億円。21~23年の9億円から約6倍となった。このほかリゾート型も56億円と、同時期と比較して約2倍となっている[図表]。
築浅物件の人気が高いが、築50年を超える物件の取引も複数みられる[図表]。タイプ別にみると、フルサービス型は築25年以上のみ、宿泊特化型は築
浅に集中しつつも築20年程度まで満遍なく、リゾート型は築浅と築30年以上へ2極化と明確に傾向が異なる。
2022年が8件・208億円、23年が40件・2,108億円、24年が47件・3,567億円と、着実に増加している。24年はコロナ前の水準(19年、42件・2,910億円)も上回る結果となった。