いい生活「いい生活クラウドSaaSシリーズ」
SPECIAL REPORT
賃貸収支のリアルタイム把握、日々の不動産運営(PM)から得られるデータを資産運用(AM)戦略に転化、
活用できるDXツールとして、不動産ファンドの間で「いい生活シリーズ」が注目されている。
いい生活は、不動産管理特化のDXツール「いい生活クラウドSaaSシリーズ」を開発・提供するDX企業だ。ユーザー数は1,517社、4,718事業所、無料の「いい生活アカウント」登録法人数は2万2,000社を超える(2024年9月末時点)。
いい生活シリーズは、プロパティマネジメントやリーシングなど各業務向けのソフトウェアから構成される不動産運営業務のプラットフォーム[図表]。 各ソフトウェアはシームレスに連携しており、物件情報や顧客情報、契約、請求、売上情報などを一元的に管理できる。AM、PM、仲介など複数の企業や部署、担当者は常時アクセスが可能。
「不動産投資マーケット全体の業務プロセスの一元化、効率化に寄与する」(代表取締役社長CEO前野善一氏)。
特徴は、ユーザーと資産に関する汎用性の高さである。
ユーザーでは、導入先企業の事業規模や業種を問わない。「地方の中小オーナーはもちろん、全国区の大手不動産企業から、金融系、大手総合デベロッパー系、鉄道・電力・ガス・通信などのインフラ系、財閥系まで幅広い。AM、PM、仲介会社など業態を問わず導入効果を引き出せる」。
資産タイプでは、賃貸マンションから学生寮、高齢者住宅、社宅、駐車場、トランクルーム、オフィス、商業施設など、施設形態や規模、テナント数、運営内容が異なる資産でも活用できる。
こうした幅広いユーザーや資産タイプで対応可能とする理由は、「ワンプラットフォーム」のシステムにある。いい生活のクラウドSaaSは、すべての利用者がひとつのプラットフォームで完結できる仕組みを構築し、その中で運営管理に必要となるすべての機能を備えているのだ。
「これまで顧客から受けた相談、リクエストは“膨大な集合知”としてシステムに反映させており、今後もさらに進化を続ける」。施設要件や管理目的に合わせたカスタマイズをせずとも、対応可能となるケースがほとんどという。また、システムのバージョンアップや法改正、地名、駅名、路線、銀行の統廃合などに伴うマスター更新も無料。更新は2週間に1回以上の頻度で実施され、常に最新の状態で活用可能だ。
無論、単体での使用にも問題なく機能する。たとえばPM会社向けの基本サービスである「賃貸管理クラウド」は、管理受託契約や賃貸借契約、入出金の管理、PMレポート作成、会計連動など、収益不動産運営の全業務をカバー。これまで紙やエクセルで行っていた業務をシステム上で完結できる。
いい生活シリーズの導入活用事例を見ていこう。投資運用会社フォートレス・インベストメント・グループ(FIG)傘下で、管理戸数約3,000棟・11万戸、駐車場約7万区画の中低所得者向け賃貸住宅「ビレッジハウス」を管理・運営するビレッジハウス・マネジメント(VHM)は「賃貸管理クラウド」を導入。膨大な業務量に対応するため、入退去や入出金管理の効率化が課題となっていた。
VHMが賃貸管理業務DXの中でいい生活を選んだポイントは大きく3つあったという。
1つめはコンサルティング機能だ。不動産業界に精通したスタッフによる導入から運用まで一貫したサポートを提供。管理・運用物件の特性に応じた最適なシステム活用方法を提案している。
VHMへのシステム導入では、エンジニア、営業、コンサルティング、サポートのメンバーが専属チームを組み、定例会や現場への常駐で、既存業務プロセスの課題を徹底的に洗い出しながら、綿密な議論を重ねた。「FIG、VHM、いい生活が同じ目線で業務効率化の方法を議論できたことが成功のカギ」(前野氏)。
2つめは内製化されたシステム開発能力である。いい生活のシステムはすべて常勤エンジニアによる自社開発であり、迅速な不具合対応や蓄積されたノウハウを強みとしている。VHMへの導入では、基本的な業務プロセスをいい生活推奨の標準仕様に置き換えると同時に、不足する機能はSaaSのバージョンアップで対応。これらの機能はいい生活ユーザーに開放されている。
3つめはBPOとの相性のよさである。いい生活は、システムの運用も支援するために業務代行(BPO)サービスを組み込んだ「BPaaSモデル」を採用。システムが運営現場に馴染むまでの課題整理や業務プロセスの改善を並行して進め、成果を持続可能にする仕組みを提供している。
具体的には、データ移行や業務代行、BPRの支援、RPA・ローコードツールの提供などで、SaaS活用を支援している。
(VHMの導入レビューは本ページ下部に掲載)
いい生活シリーズは今後強化していく拡販先として、以下の2つの分野を挙げている。
1つめは、大手不動産ファンドやREITのアセットマネジメント(AM)会社、およびその業務を受託するプロパティマネジメント(PM)会社。2つめは、企業が保有する不動産を活用するCRE(企業不動産)分野である。
「日本の不動産時価総額のうち、証券化市場が占める割合は2~3%に過ぎず、事業会社と個人オーナーが大部分を保有している。開拓の余地は非常に大きい」(前野氏)。
そのほか、システムの機能面での強化にも積極的だ。力を入れるのは「売買流通」と「建物管理」の2つ。売買流通では、不動産取引の最適化に繋がる仕組みを構築する計画だ。建物管理では、図面や設備、写真情報を紐づけて管理する仕組みの開発を進めている。
「国内不動産業界が抱える課題の一つは、汎用性の高いデータベースが整備されていない点にある」と前野氏は指摘する。
「当社のプラットフォームを進化させることで、ヒト、カネ、モノがリレーショナルに結びついた唯一にして膨大なビッグデータとなる。管理・運営の効率化に加え、不動産売買のタイミングを的確に捉える支援までを一貫して提供することが可能になる。不動産市場全体の活性化に寄与したい」と抱負を述べた。
福林由香氏|ビレッジハウス・マネジメント執行役員オペレーション統括
松尾亮氏|ビレッジハウス・マネジメント事業戦略本部副本部長
選定理由
事業規模の拡大で、事務処理件数が増加、従来システムでは対応しきれないさまざまな課題を感じていました。とくに基幹システムとのスムーズな連携は業務効率化に不可欠でありながら、人が介在して補う必要があり負荷が大きい状況でした。そのため人為的ミスを極力排除した業務プロセスの構築や、膨大なデータを迅速に処理できるシステムの導入が、さらなる事業拡大に繋がると考えました。この課題解決に向けたパートナーとして「いい生活」を選定しました。
使い勝手
視認性が高く、直感的な操作が可能で、分厚いマニュアルを読み込む必要がない点が社内でも高く評価されています。また、検索条件が詳細かつ豊富で、必要な情報に迅速にアクセスできるため、“ 探す手間” を省けることにも大きなメリットを感じています。
付加価値
カスタマイズしたかのように利用できる汎用性の高い標準機能により、当社独自のキャンペーンやルールの登録にも柔軟に対応可能です。このため、新規施策の実施や運用変更が多い当社に非常に適しています。また、取込みツールの活用で膨大なデータを一括でインポート可能で、年間契約件数が1万件を超える当社では、事務作業の効率化や、登録ミスの大幅な削減に寄与しています。
期待効果
導入から間もないですが、CRMの顧客情報や会計システムとのスムーズな連携で、業務フローが簡素化され、人為的ミスの削減に繋がることを実感し始めています。今後は、蓄積されたデータを活用して分析を進め、さらに効率的な家賃収納の実現に繋げられることを期待しています。
いい生活(東証上場:3796)
お問い合わせ:03-5423-7830(代表)