ポスト・リンテル|不動産ソリューション部 執行役員 大野勝巳氏
SPECIAL REPORT
海外富裕投資家の対日投資ニーズが盛り上がるなか、
東アジア圏のファミリーオフィスを中心顧客にもつポスト・リンテルが実績を伸ばしている。
同社は売買仲介から取得後の管理・運営サービスまで一気通貫で提供する
投資家第一主義のパフォーマンスが魅力だ。
ポスト・リンテルは海外投資家向けの対応を得意とする不動産仲介会社である。顧客投資家は、香港、台湾、シンガポールなど東アジア圏が中心で、ファミリーオフィス(資産1,000億円以上の一族による資産運用会社)が8割を占める。
その多くは同社を通じて複数回、日本の不動産を取引しているが、とくに日本での投資は初めてで、不動産市場や事業の商慣習には不慣れである顧客には、信頼のおけるローカルパートナーの存在と、細部に踏み込んだ情報サポートが不可欠だ。
彼らに対して水先案内だけでなく「国内企業だからこそ察知できる鮮度の高い情報、不動産市況の“ 機微” まで余すところなく提供している」と語るのは、不動産ソリューション部 執行役員の大野勝巳氏だ。
同社は日本のマーケット情報の提供や来日時の物件案内はもちろんのこと、不動産に限らず日本の新型コロナ対策や自然災害発生時の状況報告、場合により宿泊先、飲食店の案内まで、非常に多岐にわたる要望にも懇切丁寧に対応する。
「海外投資家が抱える対日不動産投資への心理的不安を解消し、“顔の見える”信頼関係を構築している」(大野氏)。
また、投資家からの問合せには即日回答を基本とする。「オンタイムでの対応は組織体制が大きい大手企業より、稟議や承認手続きが簡潔な当社のような小回りの利くブティック型企業ほど向いている」(大野氏)。海外ファミリーオフィスは社会情勢の変化に敏感で、非常に意思決定が速い特徴があることも、スピーディーな対応が求められる背景の1つだ。
「国内富裕層と比較して、初回の顔合せでいきなり決定権者が登場することもしばしば」(同氏)。
業務の機動性のほか、言語対応や不動産投資に関連する支援サービスメニューの幅広さなど、投資家の要望に対する柔軟性も特長である。
言語対応では、英語はもちろん中国語やスペイン語、ドイツ語、フランス語などに対応。多言語でのレポーティングも可能だ。同社社員は多様な国籍で構成され、海外駐在経験者も多く、グローバルな投資家と円滑なコミュニケーションを可能にしている。
支援サービス領域は[図表]の通り。不動産仲介、物件管理・運営(PM/BM)、建築のほか、開発型投資におけるプロジェクトマネジメント、アセットマネジメント業務体制を備えており、不動産投資に関連する一連の業務をワンストップで支援可能だ。とりわけ国内投資用不動産のアクイジションを担当する不動産ソリューション部は、海外投資家との連絡窓口を務めるセールスリサーチチームと連携するなど充実した体制を誇っている。
ポスト・リンテルグループの業務体制 | |
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ポスト・リンテル |
不動産売買、仲介、管理(PM) |
Post lintel Investment Management |
AM事業 |
PTコンストラクション |
建設事業 |
PG.Building Management |
建物管理事業 |
同部門を統括する大野氏によれば、パンデミック収束以降、海外投資家の注目は観光関連資産(ホテル、商業施設、民泊)に集中。とくに、アパートメントホテルや民泊は海外旅行者の大人数・中長期滞在の需要を受け人気が高いという。同社では物件価格の高騰を背景に、“ 地上げ” 段階から参画する開発型投資や、賃貸住宅を取得後に民泊へコンバージョンする手法を指南している(関与案件はほとんどがフルエクイティで実施)。
ポスト・リンテルが掲げるビジョンは、「アジアNo.1のソリューションカンパニー」である。今後は社員一丸の“ 全員営業” 体制で、中東や欧米系の投資家層にもアプローチしていく方針だ。この目標に対し、大野氏は新たな人材の採用こそ要と見る。「デベロッパーやファンド事業者、仲介会社など、幅広い業務経験をもつ人材を迎え入れたい」(大野氏)。
社員のスキルアップを支援する環境も充実している。海外投資家を顧客とする特性上、社員には世界経済、政治、通貨動向など、不動産市況に関連する情報の不断なアップデートが求められる。同社では知見や感覚を高めるため、シンガポールへの語学留学、「ブルガリ ホテル東京」など国内有名ホテルの試泊、あるいはアジア、ヨーロッパへの海外視察などを社費でバックアップしている。大野氏もイタリアへの視察研修を終えたばかりだ。
「成長意識の強い社員と共に働き、個々のキャリアアップが実現できるのが当社の魅力」と大野氏は述べる。新たな人材の加入によって社員の多様性と専門性が深まることで、サービスの競争力と説得力を一層高められるだろう、と期待を示した。
大野勝巳 氏
不動産ソリューション部 執行役員
野村不動産グループの法人仲介部門にて、営業部長として機関投資家、AM 会社、デベロッパーを主な顧客とし不動産売買、信託受益権売買取引に長年従事。その後、海外投資家向け不動産取引を自ら体現するためポスト・リンテルに所属、現在に至る。
不動産仲介業務では、複雑かつ多額の取引であっても投資家の求めるスピード感に即した迅速な対応力が求められます。
たとえば、海外投資家による都内住宅のバルク案件(400 億円規模)では、AM 会社とスピーディーに連携することで、わずか2 週間で契約を締結。また、資産管理会社による保養施設のバルク案件(200 億円規模)でも、プロジェクトチームを発足することで、売主への買い付け提示から1週間、基本同意から3 日間で決済に至りました。このように大手企業には難しいスピードを発揮しています。