――PM編集部
2024年のアンケート調査では233社から回答を得た。回答社数は着実に増加しており、今回も前年から1社増となっている。ご協力いただいた各社にお礼を申し上げたい。
2024年の不動産投資市場は、オフィスビル市場の回復基調、商業施設やホテル市場の好調ぶりなど明るい話題がある一方、金利上昇に対する警戒から不透明感もみられる。このような状況で、PM業界はどのような動向を示しているのか。【抜粋版】では、アセットタイプ別にみたPM会社の受託面積ランキングの上位企業を紹介する。
総合型は前年に引き続きシービーアールイーが第1位。受託面積は前年比24%増であるが、前年も前々年比24.9%増であり、この2年間でみると約55%の増加となる。同社によると、物流施設の受託を伸ばしたことが面積増の要因だとしている(面積ベースでみた物流施設の割合は前年比5.4%増)。
なお総合型PMの大手としてはザイマックスが挙げられるが、同社はBMも含めた受託面積で回答しているため、ランキングから除外している。
オフィス中心型は、1~3位までは前年と同じ顔ぶれで、第一ビルディング(3位)の9%増を除き、ほぼ前年並みとなっている。
前年4位のNTTアーバンバリューサポートが総合型に移行し、代わって今年4位にランクインしたケネディクス・プロパティ・デザインが前年比64.3%増と大きく受託面積を拡大しているのは要注目だ。
住居中心型は、例年同様に東急住宅リースと長谷工ライブネットが1位と2位を分け合った。今回新たにランクインしたビレッジハウス・マネジメント(3位)は、米系投資会社フォートレス・インベストメント・グループのPM会社で、同グループが投資している低家賃マンションシリーズ「ビレッジハウス」を運営管理している。
商業中心型は、1~5位が前年と同様の顔ぶれである。そのなかでは東急不動産SCマネジメント(3位)の前年比16.4%増が際立つ。この分野の上位企業は大手不動産会社や鉄道会社の系列が多い傾向だが、同6.1%増のプライムプレイス(4位)は、東京建物系列ではあるものの、外部の私募ファンドやREITからの受託実績を積み上げている。
物流中心型の1位は例年通り日本GLPだが、同社の数値は開発中物件も含んでおり取扱いには注意を要する。2位の大和ハウスプロパティマネジメントは1,000万㎡の大台をはじめて突破した。上位企業は自社ないし親会社で開発機能やファンド・REIT機能を抱えており、物流施設自体の規模の大きさもあいまって、順調に受託規模を伸ばしているとみられる。
各社の取扱い物件タイプをみていくと、前年に比べ取扱い割合が増えている傾向が強いのは「複合ビル」で、なかでもその主流である「オフィス+商業」が前年比5.3%増となった。ビルが単一機能型から複合型へと変化している証といえるかもしれない。
総合型PM会社の取扱い物件でもオフィス+商業が数字を伸ばしている。一方で単一アセットの取扱い割合は全体的に減少しており、とりわけ商業は「都市型マルチテナントビル」と「郊外型SC」の双方で落ち込みが激しい。各社で事業分野の見直しが進みつつあると見て取れる。
本誌では、アセットタイプごとの受託面積ランキング完全版、物件タイプ別の取扱い比率の変動を分析。
ほかにも人員体制や業務管理システムの導入状況、フィー体系からみる各社の業務状況、クライアント数ランキングなどPM事業の成長に有益なデータを多数掲載している。