キーワード検索

サイト内検索を閉じる

中央日土地ソリューションズ 山本常雄氏[投資営業部]に聞く

事業会社の買い意欲が旺盛
長期運用による賃料上昇余地に期待

有力各社の着眼点

中央日土地ソリューションズは企業不動産(CRE)戦略の支援に力を入れる仲介会社。昨秋以降、プロ投資家向けの優良案件が市場に持ち込まれるケースが増加し、事業会社が節税対策などで買い意欲を強めているという。同社から、取引マーケットの動きについて話を聞いた。

強い買い手

▶国内投資家|事業会社
 昨秋以降、プロ投資家向けの優良案件が仲介会社に持ち込まれるケースが増加。事業会社へ投資機会が流れることでプレーヤーチェンジが進んでいる。彼らの投資目的は、「買換え特例」の活用や「株特外し」など節税効果を狙ったものが中心。エリアは東京がほとんどでワンショット10億円前後の取引がボリュームゾーンになる。自社ビル用途など事業用の資産であるほど立地にこだわる傾向が強く、気に入った物件ならばプロ投資家を凌駕する価格目線での取引も散見される。中長期運用が前提で足元の利回り感よりも、将来のインフレに連動した賃料のアップサイドに期待する傾向が強いためだろう。

注目される資産クラス

▶住居|都心3区に人気が集中
 取引量が圧倒的に多い資産クラス。買い手はプロ、アマを問わず多様。人気が集中する東京都心3区の新築物件はcap3%台前半で取引価格は高騰中。地方では大阪、福岡での取引が活発。買い手はプロ投資家が中心だが、価格が10億円を割ると地元の不動産会社が台頭する傾向がある。中心部の築浅物件の取引が中心となっている。
 投資家の属性別では、プロ投資家は築20年前後でリノベーションによる収益向上機会など“ 手の掛けがいがある” 物件を好んで取得。事業会社はトラックレコードを確認できる築浅物件に注目。中小企業や富裕層を顧客に抱える小口化プレーヤーは、立地に優れる新築のトロフィー物件をフォワードコミットで取得している。

 

▶オフィス|自家用で築浅ビルが人気
 取引が増加傾向の資産クラス。東京都内では10~30億円の取引が中心。事業会社の取引が増加しており、そのなかでも、建築費高騰により新築による自社ビル開発を断念した事業者が、買換特例などを活用して自社ビルとして購入するケースが増えている。東京本社の事業者ならば分散する営業拠点の集約、地方本社の事業者ならば東京支店開設が目的だが、自社入居以外の床は賃貸する場合が多い。そのため賃上げしやすく、大規模修繕などの追加コストも膨らみにくい築浅の物件が好まれる。人気エリアは交通利便性が高くリクルーティングにも強い東京駅周辺と中央区の鉄道駅周辺。地方事業者ほど立地へのこだわりが強い。
 バリューアップシナリオを描きやすい築古ビルを物色する買取再販会社も増加中。ただし、セットアップオフィスなどの仕上がったビルの取引は限定的。買い手は入居テナントの属性や財務状況、正味の稼働率(フリーレント期間を考慮)を慎重に見定めているようだ。デベロッパーが中長期的な再開発を見込んで種地として築古ビルを押さえる動きも目立つ。
 

▶ホテル|高級、MC、大規模に熱視線
 プロ投資家にもっとも人気の高い資産クラス。買い手からのオーダーは、①インバウンド需要の受け皿となるラグジュアリー、長期滞在型であること、②契約形態が変動賃料・MCであること、③大規模物件であることに集中する。ただし市場に流通する案件の多くは固定賃料のバジェット型である。ニーズにかなう案件は相対取引での成約が多く、ひとたび市場に出れば取得競争は避けられない。
 

▶インダストリアル|データセンターは開発実現性に課題
 データセンターの開発用地についての取引相談が増えてきた。現実的には電力の供給余地や地震・水害への強靭性に優れた土地は極めて少なく取引は進んでいない。物流施設は開発ラッシュによる供給過多やリーシングの苦戦により調整局面にある。


その他、有識者の不動産市場分析や有力仲介各社のコメント、強い買い意欲をみせるプレーヤーの取得戦略などは本誌でお読みいただけます。

月刊プロパティマネジメント
2024年9月号

月刊プロパティマネジメント 2024年9月号

定価:4,400円(本体4,000円)

年間定期購読料

最新号から

定価:49,500円(本体45,000円)[送料込]

年間定期購読料+PriMe(PDF配信)

最新号から

定価:75,900円(本体69,000円)[送料込]

関連リンク

ページトップ