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TBSホールディングス|赤坂二・六丁目地区開発計画

コンテンツで再開発に独自性
赤坂を一大エンタメ拠点に

【知的財産の活用】

メディアとしての不動産
コンテンツ価値を増幅

TBSホールディングス(TBS)は三菱地所と共同で、東京・赤坂にてオフィス、店舗、ホテル、劇場・ホールなどで構成される再開発計画「赤坂二・六丁目地区開発計画」を進めている。同計画と赤坂サカス周辺のリニューアルを合わせて「赤坂エンタテインメント・シティ計画」とし、同社がもつコンテンツ機能や文化発信機能を組み合わせてエリアの不動産価値向上に取り組む構えだ。
赤坂エンタテインメント・シティ計画は、TBSが「グループ中期経営計画2020」のなかで掲げた「TBSシナジーを生む総合メディア戦略」の一環として掲げられたもの。2022年にはエリアコンセプトを「あらゆる世界を揺さぶる、エンタテインメントの街へ。Shake The World. AKASAKA」に設定。ラジオやテレビを通じて最新の情報・文化を発信してきた同社の力で、赤坂の地を最先端のエンタテインメントの発信源にしようとする狙いである。
「自社がもつIP(知的財産)コンテンツを活かした事業を不動産事業と掛け合わせながら模索しようと考えた。いわば音声や映像に続くメディアとして、リアルな場、すなわち不動産を活用し、体験を通じてコンテンツ価値を高めていく。それが同時に不動産事業の価値を高めることにもつながるはず」と、赤坂エンタテインメント・シティ事務局 エンタテインメント・シティ推進室長の川鍋昌彦氏は説明する。

赤坂の地域性・歴史性の文脈から「舞」をモチーフにした建物計画

赤坂の地域性・歴史性の文脈から「舞」をモチーフにした建物計画

エンタメ特化で企業・人材育成
機能連携で体験価値を高める

赤坂二・六丁目地区開発計画は、三菱地所が保有していた国際新赤坂ビル(東館・西館)とその隣接建物を解体し、地下4階地上40階建ての東街区と地下3階地上18階建ての西街区を新築するもの。2021年11月には国家戦略特別区域の認定を受けた。24年3月より新築工事に着手、28年10月末の全体竣工を予定する。

赤坂駅と一体化した空間づくり

赤坂駅と一体化した空間づくり

計画の中身をみていくと、東街区にオフィス、店舗のほかインキュベーション施設などの機能を付与。西街区に劇場・ホール、ホテル、店舗などの機能を付与する。
うちインキュベーション施設は、国際競争力の強化に資するエンタテインメント産業拠点の形成を目的に、エンタメ系スタートアップ企業やクリエイターの育成および大企業との交流を促進する場とするもの。またデモスペースの整備、駅や街の空間およびホールの活用を通じて、新たな技術や作品を展示・実装し、実証実験や情報発信に役立てることも構想する。
「インキュベーション施設自体は東京にもさまざまあるが、エンタメ産業にフォーカスすることで当社らしく差別化した。当社も施設運営に何らかの形で関与していきたいと考えている」と川鍋氏は話す。

オフィスについてもインキュベーション施設と同様に「エンタメ系の企業を少しでも多く誘致したいという考えを三菱地所と共有している」(同氏)ようで、ある外資系企業がすでに入居に対し関心を示しているそうだ。
ホテルは中長期滞在に対応したハイグレードなものとする方針で、オペレーターは水面下で固まりつつあるとのこと。外国人を含む観光・ビジネス客、エンタメ業界関係者の利用を見込む。また集客や文化発信の核という役割を担う劇場・ホールと連携した企画により、コンテンツの体験価値を高めることも狙う。さらに近年日本でも注目されはじめたナイトタイムエコノミーに関連して、夜間公演の鑑賞からホテルへの宿泊につなげる仕掛けも検討する。

コンテンツ活用を赤坂サカスで先行
知見を再開発にフィードバック

冒頭で説明した通り、赤坂エンタテインメント・シティ計画は赤坂二・六丁目地区開発計画のほかに赤坂サカス周辺のリニューアルも含まれる。TBSは再開発に先行して、赤坂サカスでコンテンツを絡めたいくつかの取り組みを行っている。
劇場「TBS赤坂ACTシアター」では、2022年6月から舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の専用劇場としており、駅から劇場までの動線を同作品の世界観を演出した空間に改装している。隣接するライブハウス「赤坂BLITZ」(20年閉館)では、22年10月に観覧機能付きのスタジオ「TBS赤坂BLITZスタジオ」に改装した。
またTBSが保有する赤坂サカス敷地隣接のビル「THE HEXAGON(ザ・ヘクサゴン)」では、2022年10月にバラエティ番組「王様のブランチ」プロデュースの店舗「ブランチパーク」をオープン。23年4月にはグループ内におけるR&D機能を担う施設「Tech Design X(テックデザインクロス)」をオープンした。
「こうした取り組みを再開発にフィードバック、またそこで得られた知見を赤坂サカスのリニューアルや将来的な建て替えに活かしていく。赤坂サカスの事業パートナーである三井不動産とも連携しつつ、エリア活性化に努めたい」(赤坂エンタテインメント・シティ事務局 リアルティ戦略部 部長の近藤明人氏)。
TBSの2022年度決算をみると、メディア・コンテンツ事業の営業利益は109億円、不動産事業の営業利益は67億円で、両事業合わせて連結営業利益207億円の85%を占める。赤坂エンタテインメント・シティ計画は、この両事業を相互に伸ばし合うための役割を担っていると理解できよう。
「総合コンテンツ企業として社会に示したいビジョンを体現した、当社にしかできない不動産事業をこれからも推進したい」と川鍋・近藤両氏は話している。

ハリー・ポッターの世界観に改装した駅の階段

ハリー・ポッターの世界観に改装した建物

ハリー・ポッターの世界観に改装した駅の階段と建物

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