――ソフトバンク
ソフトバンクは、快適なオフィス環境を構築、ニューノーマルなワークスタイルを実現するサービス「Smart WorkSolution」を提供。ワークプレイスの付加価値を創出、オフィスワーカーの快適性を高めてオフィスビルの資産価値を高める、従来型のバリューアッド策とは異なる新しいアプローチで注目を集めている。すでに不動産会社や投資ファンドの保有するオフィスビルへの導入が進んでいる。例えば、サンフロンティア不動産が2021年に開発したセットアップオフィス「+SHIFT NOGIZAKA(プラスシフト乃木坂)」ではスタートアップ企業を中心に高い反響を呼び、竣工直後から満室稼働を続けている。坪賃料は近隣のセットアップオフィスと比較しても高い水準で推移しているようだ。
サービスを開発したのは法人事業統括デジタルトランスフォーメーション本部。同部はIT やIoT のプロフェッショナルに加え、デベロッパーやゼネコンなどの出身者らで構成されたハイブリッドなセクションだ。「ビルの設計から運営まで、不動産オーナーやテナントとまったく同じ目線で対話・提案できることが大きな強み」(スマートシティ事業統括部 スマートシティ事業推進2部 ストラクチャ―デザイン課 課長 伊佐隆志氏)。
オフィスビルの付加価値向上を目的としたサービスは、コロナ禍で顕著となったワークプレイスに関する“需給ギャップ” が背景。変化したオフィスワーカーのニーズと稼働に悩むビルオーナーのニーズの双方に応えることが開発の目的である。
「空室・収益低下といった問題を解決するには、リーシング戦略やハード面のリニューアルだけでは不十分。リモートワークでほとんどの実務がこなせる時代に、リアルなオフィスはそれを超える付加価値をソフトウェアとIoTの力で提供しなければ生き残れない」と語るのは、法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部 スマートシティ事業統括部 スマートシティ事業推進2部部長 沼田周氏。
Smart Work Solutionの特色はオフィスビル環境に対する徹底したワーカー目線にある。「WorkOffice+(ワークオフィスプラス)」というビルの施設予約や各種機器操作を一体的にコントロールするアプリケーションをキラーコンテンツに、ネットワーク環境の設備、アプリとの連携に必要な各種施工・設定をワンストップで支援するコンサルティングサービスを展開し、パソコンを用意するだけで快適なオフィスワークができる環境を提供している。導入にあたっては、接続や設備の不具合への対応やアプリの活用方法についてのコンサルティングまで行う。
WorkOffice+は、ワーカーのスマートフォンから操作できる。ビルのスマート化を効率的に行い、ワーカーの利便性を向上させる。具体的な機能は、スマートロック機能、デスク予約、会議室予約、空調やエレベーターのコントロール、来訪者の受付・管理など。スマートキーをスマートフォンに付与することで物理的な鍵が必要なくなるうえ、それを予約機能に紐づけることで共有部の管理がよりスムーズになる。曜日貸しの管理機能も備えており、テナントに特定の曜日だけオフィスを使えるスマートキーを発行することが可能だ。また、オーナーがテナントに伝えたい情報(ビル内のイベント情報、工事情報など)はワーカーのアプリに直接通知できる。
そのほか、ワークプレイスの快適性を向上させるだけでなく、ビル内の他テナントや店舗、近隣のビルとの連携を容易にする。テナント間で空いている会議室をシェアする機能があり、貸した側のテナントはビル内で使えるポイントを得て、館内の無人コンビニエンスストアなどで利用できるしくみが構築されている。アプリケーション上で提携店舗の割引クーポンの配布、近隣のビルの会議室の予約などが可能。ビル全体あるいはビル群の競争力強化に道をひらく。
WorkOffice+は単なる設備・機器の連携システムにとどまらない。アプリケーションの利用データがサーバーに蓄積されており、ビルオーナーはテナントやワーカーの日々の行動、館内の設備・機器の利用状況などを把握することが可能。「利用データの分析により、テナントの隠されたニーズ、ビル運用の課題点などを把握できる。既存ビルの空室対策はもちろん、今後の投資や商品企画に活かしてほしい」(伊佐氏)。