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物件売買額は半減
オフィスと商業に手控え感

J-REIT全体の直近3年間(2020~22年)の売買動向からマーケットの動きを探り、取得額・売却額の推移とその要因を考察する。

図表1 用途別J-REIT年間取得額

 J-REIT全体の取得額は、2022年に大幅減となった。取得額は13年以降、1兆円超で安定的に推移してきたが、22年は9年ぶりに1兆円を下回り、前年比7,137億円減(同45%減)の8,877億円となった[図表1]。とくにオフィスの取得額は、前年比4,903億円減(65.5%減)。ほか郊外型商業施設(792億円、68.3%減)、土地底地権(415億円、71.3%減)を含め、前年に取得額を伸ばした資産タイプほど反動減となった。
 物流施設(13.4%減)と住居(7.9%減)は、取得が進み、取得額のマイナス幅が相対的に小さかった。なお、シニア施設(36.4 % 増) とSPC投資(107.4%増)は前年より増加した。
 2020~22年の3年間はコロナ禍中のイレギュラーな環境であったことが分かる。23年以降はコロナ禍からの回復に合わせるように都心オフィスの大量供給が予定されるほか、国内外旅行需要の本格回復に伴うホテル投資の盛り上がりなど、新たな変化に注目される。

図表2 用途別J-REIT年間売却額

※売却額が非開示の物件は除外

 一方、売却額の推移は、2021年に過去最高額(4,140億円)を更新した反動で大幅減少。22年は前年比1,517億円減(36.6%減)の2,623億円となった[図表2]
 とくにオフィスの売却は、前年比846億円減(36.3%減)。都市型商業施設(403億円減、60.5%減)、郊外型商業施設(227億円減、81.3%減)も大きく減少した。
 J-REITの各銘柄では、ポートフォリオの若返りを図る目的から物件入替えが進んでいる。あるいは、物件売却益自体を目的とする売却事例もある。オフィス賃貸市況悪化や電気料金高騰による収益減少分を売却益で補填し、毎期の分配金を捻出する動きも一部でみられる。こうした、物件入替え・売却の動向は、今後の金融情勢に左右されることだろう。金利上昇でキャップレート上昇局面となれば、さらに取引が停滞する可能性も考えられる。

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