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池上貴久 氏[㈱ボーネルンド 専務取締役 あそび場運営事業部長]

先駆者に聞くキッズパーク開発・運営のポイント

[INTERVIEW]

<前略>

人口集積地限定、200坪が基準
目に見えないコストにも配慮を

――室内あそび場の開発についてお聞きします。

池上 まず立地については人口集積地であることが大前提です。人口1億2000万人で1年間の出生率は1%未満の約70万人。人口100万人の都市で1年に産まれるのは7000人くらい。6歳までの子どもの人口は約4万〜5万人です。経営的には子どもだけで1年に10万人は来場してほしいので、そうなると賃料を払い、設備投資して出店できるのは政令指定都市か、同等の都市となります。
 面積は600〜800㎡ほどが適正と考えています。大型のものでは前出の「プレイロット」は総面積1900㎡ほどありますが、大型になればそれなりの売上げが必要になります。

――室内あそび場に必須の遊具とは。

池上 子どもが成長する過程で身につけるべき動作として、走る、登る、投げるなど「36の基本動作」があります。キドキドでは、楽しく多様な動作が出現する遊具を揃えています。ボールプールやサイバーホイールといった多様な動きが楽しめるタイプの遊具は変わらず人気があります。ボールプールのボールは5万〜10万個、プラスチック製で劣化するとしぼんだり割れたりしますので、3年ほどで定期的に入れ替えなければなりません。1個50円としてもかなりのコストになります。
 室内用の床マットには、当社ではスポーツブランド・㈱アシックスのランニングシューズなどに使用される独自開発の衝撃緩衝材を採用しています。これだと膝に負荷がかからず、大人が一日遊んでも膝が痛くなりません。使いやすい、長時間使っても疲れない、子どもの脳しんとうなど万一のとき衝撃を吸収して大事故を防ぐといった、リスクを避ける配慮もしなければなりません。

――商業施設以外ではどのような出店立地が考えられますか。

池上 不動産会社がマンション販売をする際、2階に住宅販売センターを置き、1階をあそび場にするというケースがありました。たとえば大阪府吹田市のマンションでは、販売する際、4年で1500人の来場者を集めた実績もあります。
また、昨今注目されているのが、ボートレース場に設置された親子のあそび場「モーヴィ」です。ボートレース場はレースで得られる収益の一部を地域の教育、社会福祉、環境整備に充てるなどして地域に貢献しています。ボートレース場に併設されるかたちで、入口も別なので気軽に立ち寄ることができ、料金も300円(平日160分、土・日祝日100分、入れ替え制)と手ごろな価格で利用することができます。

子どもが満足する1時間半が目安 移動式あそび場がPRにも貢献

――運営面についてお聞きします。料金はどのように設定しますか。

池上 全国的に子どものあそび場が不足している現在、キドキドはできるだけ日常的に利用しやすい料金設定にしたいと考えています。ただ昨今の物価高を受け、入場料は24年4月に15%ほどの値上げに踏み切りました。たとえばキドキドの基本料金では、子ども平日最初の30分800円、延長10分ごと200円というように従量課金制にしています。また、平日は2時間、休日は2時間半以上で1DAYパスを用意しており、平日2600円、休日3400円と格安になっています。子どもは9割方、1時間半で遊び疲れ、満足することがわかっていますので、当社としては1日2時間を目安に遊んでもらえればと、この料金設定にしています。滞在時間も約200坪なら1時間半、室内では子どもは身体を動かすゾーンと静かに休むゾーンを往復し休みながら遊びますが、おおむねこのくらいの時間とみています。
定期的なイベントとしては、キドキドではハイハイチャレンジ、1歳の誕生日会、プレイリーダーの体験会などを用意し提案しています。開催するのは、未就学児なら平日の昼間、小学生以上は夏休み期間に集中させています。

――昨年からオンラインシステムを導入されました。

池上 休日や雨の日などは入場までに長時間並ぶこともありました。いつでも待ち時間なくスムーズに入場し、お客様の満足度をあげられるようにオンラインの予約システムを23年3月より一部店舗に導入いたしました。これにより、受付にかかる時間が3分の1程度になり、プレイリーダーのレジ業務の時間が削減され、プレイリーディングに注力できるようにもなっております。

<続きは本誌にて>

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