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前年度ほどの加速感には欠けるがコロナ前の水準まであと一息に

2023年度有料施設トップ100の集客実態

[OVERVIEW]

インバウンド回帰で外国人比率の高い施設が好調

 本特集は、『レジャーランド&レクパーク総覧2025』(綜合ユニコム㈱、2024年11月6日発刊)の調査データから、入場有料施設の2023年度年間入場者数(原則4月1日〜翌年3月31日)上位100施設を抽出し、コロナ禍からの回復状況をエリア別に整理し、集客状況をみていく。
 エリア別動向については、「北海道・東北」「関東」「東京」「北越・東海」「近畿・中四国」「九州・沖縄」の6ブロック[図表1]に分け、48頁以降にまとめた。本稿では、100施設をいくつかの業種に分類して回復状況を確認したい。
 業種分類については、施設数がある程度均等になることを意識し、テーマパークと遊園地を同一カテゴリーとした。この「テーマパーク・遊園地」のほか、「動物園」「水族館」「ミュージアム」「公園・庭園」に分類し、これらに当てはまらない施設を「その他」として、それぞれを14〜20施設にまとめた[図表2]。

 100施設全体の動向では、年間入場者数を前年度と比べると、77施設が増加[図表3]しており、そのうち21施設は3割以上のプラスとなった。増加率のトップ3は「梅田スカイビル・空中庭園展望台」(大阪府)、「チームラボプラネッツTOKYODMM」(東京都)、「広島平和記念資料館」(広島県)であるが、順位の入れ替わりがあるものの外国人入場者比率の上位3施設と同じ顔ぶれなのが興味深い[図表4]。

 19年度と比較できる87施設をみると、半数以上(45施設)がマイナスだった[図表5]。コロナ前の水準に届かない施設が半数以上を占める一方で、増加している42施設の3分の2にあたる28施設は10%以上の増加を果たしている。

 対22年度および対19年度の増加率の上位10施設を図表6にまとめた。対22年度では、先述した施設のほか、「東京国立博物館」(東京都)、「東京スカイツリーⓇ」(東京都)、「カップヌードルミュージアム横浜(安藤百福発明記念館横浜)」(神奈川県)といった外国人入場者比率の高い施設が名を連ねる。また東京の23区に立地する施設、ミュージアムが5施設入っていることも注目される。

 一方、対19年度では、「あしかがフラワーパーク」(栃木県)がトップを飾った。業種別では、「鴨川シーワールド」(千葉県)、「マリンワールド海の中道」(福岡県)、「しながわ水族館」(東京都)がランクインした水族館が注目される。圏外にも、「名古屋港水族館」(愛知県)、「鳥羽水族館」(三重県)が20%以上の増加率をみせている。

 全100施設中、過去5年のデータが確認できる80施設の19年度を基準(100)とした指数の推移をみると、入場者数は20年度に6割以上減少し、21年度に半分程度戻り、22年度は8割を超え、23年度は97に回復といった経過をたどっており、19年度の水準までもう一息の状態にまで持ち直したことがわかる[図表7]。
 図表7の折れ線グラフの形状が少し波を打っているV字、もしくは左に傾いて横の棒が長く伸びているL字にみえる。個々の施設についても、このような形状を示すケースが目立つ。

 このほか23年度に前年度を下回るS 字型、20年度から2年続けて落ち込んだ後に上昇を続ける椀型、増加から横ばいになった鍋型などがあり、V 字を描くグラフは意外に少ない。

 また、19年度の入場者数と比較できる87施設では、23年度の入場者数が、①19年度から10%以上増加(コロナ前以上)が28施設、②19年度のプラスマイナス10%未満(コロナ前なみ) が36施設、③19年度から10%以上減少 (コロナ前とはまだ隔たりがある) が24施設である。エリア別では、①の割合が他のエリアでは20〜30%台に対し、近畿・中四国が5割近い[図表8]。

コロナ前との比較では水族館の伸びが目立つ

(1)テーマパーク・遊園地

 19年度から23年度の年間入場者数が確認できるのは11施設。図表9は、このなかで入場者数が一桁異なる「東京ディズニーランド・東京ディズニーシー」(千葉県)を除く上位5施設の入場者数の推移を示したものだ。
 コロナの影響による減少幅が小さかった「よみうりランド」(東京都)が20年度に抜け出し、21年度以降も増加を続けている。23年度は19年度よりも35%ふえ、200万人の大台に乗せた。対照的に「サンリオピューロランド」(東京都)と「鈴鹿サーキット」(三重県)は、20年度に前年度の3分の1ほどに減少し、23年度も19年度の7割にも届いていない。

 
「東京ディズニーランド・東京ディズニーシー」を含む、19年度を基準とした指数の推移では、20年度に33に落込み、21年度も48となったが、これは後述するミュージアムに次いで低い。22年度は79、23年度は94となった[図表10]。
 ちなみに、アメリカのテーマエンターテインメント協会(TEA)の調査によると、23年の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(大阪府)の入場者数は1600万人。前年同様、世界第3位だが、対前年比では30%増と大幅にふえた。19年(1450万人)と比べても10%増となる。仮にこの数値を加えても、23年度指数は98で19年度を超えられない。

<続きは本誌にて>

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