キーワード検索

サイト内検索を閉じる

山部清明氏[㈱Fast Fitness Japan 代表取締役社長]

ハード・サービスの強みと
高い加盟店満足で再加速する24時間ジムのパイオニア

[TOP INTERVIEW]

23年度は72店舗を出店しトータル1,134店舗を達成

(前略)

――現在のフィットネスクラブを取り巻く環境をどのように捉えられていますか。
山部 国内フィットネスジムの施設数は、コロナ禍前(19年)の5,821施設から、5年後の24年3月で7,780施設となり、実に3割超もふえています。コロナ禍で健康意識が高まりを見せたことや、医療費削減の狙いもあって、厚生労働省が国民の健康増進を推進するために、運動や身体活動の促進に関する取組みを行なってきたことが、初心者の呼び込みに作用していると感じています。

――市場拡大の牽引力となっているエニタイムフィットネスの魅力を改めて教えてください。
山部 先ほどの話の続きになりますが、24時間ジムに目を向けると19年比で2・8倍に店舗数が拡大しています。24時間営業であれば、ビジネスパーソンや主婦が仕事、家事に忙しい時間を外し、都合のよい時間帯が選べるというのが浸透した理由ではないかとみています。ここに私どもの「すべての店舗の相互利用可能」というサービスを加えると、平日は会社帰りに通勤圏で、土・日曜は家の近くで夫婦一緒になど、場所を変えながら、さまざまなシチュエーションが楽しめることになります。行動範囲に新しい店舗がオープンすると、ドライブがてら出かけるという会員も少なくないと聞いています。

 加えて、エニタイムフィットネスで用意しているマシンは、世界のトップブランドで構成しており、上級者にも納得して利用していただいています。機能的に動けるようになるためのトレーニングが行なえるファンクショナルエリアもありますし、会員同士の視線が合わないようなマシン配置の工夫や照明にもこだわっています。
 また、朝10時から18時(店舗ごとに異なる)まで各店舗にはスタッフを配置していますので、マシンの使い方や効的なトレーニングの方法など、会員のみなさまに適宜アドバイスをさせていただく等、コミュニケーションの取れる「ヒューマンタッチ」も、無人運営の24時間ジムにはない強みの1つとなっています。

 そして、「清潔感」もエニタイムフィットネスに欠かせない大事な要素です。各店舗には約200のクレンリネスのチェック項目を設け、清潔かつ快適な空間の提供を心掛けています。どこの店舗に行っても綺麗というのは、一番の差別化かもしれません。
 コロナ禍では当社も全店で2か月休業しました。パーテーションを立てたり、アルコール消毒を徹底したり、感染症対策を万全に行なったことから、他のクラブに先駆けて営業再開することができました。空調・換気へのこだわりを徹底したのもこのタイミングでした。20年3月期(19年度)は1店舗当たり811人いた会員が、21年3月期(20年度)では624人と2割以上の会員を失っています[図表2]。

資料:㈱Fast Fitness Japan  2024年3月期決算説明資料

 退会者の利用傾向を調べてみると、月会費はいただいているのに、ほとんど利用されない会員に限られており、週に3、4回来店される会員には再開を喜んでいただいたので、そこは逆に大きなモチベーションになりました。使った後のマシンを率先してクリンナップしていただくなど、会員のマナーや意識の高さにも助けていただきました。スタッフの意識だけではなく、会員のみなさまのマナーも、現在の当社のDNAともなっているクレンリネスに引き継がれていると思います。

――24時間型の業態といえば、RIZAPグループの「chocoZAP」が一気に店舗数をふやしています。
山部 先ほど申し上げた24時間ジムの店舗数の増加という点では、そこが牽引していると思います。私どもが位置づけてきた価値訴求型のエニタイムフィットネスは、毎期安定的に店舗拡大を進めており、同カテゴリーでの店舗数シェアは18・6%となっています。価格帯が異なれば、もちろん中身も大きく異なります。初心者やライト層は、人を介さず自由度の高いジムから始めようという心理も理解できます。ダイエットを目的とする若い人は、使えるお金が限られる学生さんも多い。一方、価格訴求型のジム体験を経て、こちらへ流れてくるケースもあり、客層がほとんど重ならないというのが実感です。むしろフィットネス参加人口の裾野を広げていただいている存在という認識ですね。

オーナー満足の高いFCモデルで際立つ加盟店の増店

――1100店舗超のうち、約85%がFC店舗です。店舗数が多くなると、スタッフのクオリティや清潔感の維持など、貴社が強みとする部分について、「目が行き届かなくなる」懸念があります。

山部 現在、フランチャイズに加盟いただいている企業は約170社。財務基盤がしっかりした法人のみを対象に、厳しい加盟審査を実施しております。そうしたことから、もとより高い意識をもったうえで、当社の取組みにご賛同いただいたうえで加盟していただいています。もちろん現場のクオリティ維持のため、覆面調査や内部監査もありますが、これは直営店でも同様です。そんななか、1社当たりが運営する店舗数がふえているのが最近の特徴となっています。10店舗以上経営するFC企業も20社を超え、多いところでは50、60店舗を展開している加盟店さんもいらっしゃいます。平均しても1社当たり5店舗以上になります[図表3]。

資料:㈱Fast Fitness Japan  2024年3月期決算説明資料

――増店を希望するFC企業が多いのはなぜでしょうか。

<続きは本誌にて>

月刊レジャー産業資料
2024年10月号

月刊レジャー産業資料 2024年10月号

定価:8,800円(本体8,000円)

年間定期購読料

最新号から

定価:93,500円(本体85,000円)[送料込]

関連リンク

ページトップ