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デザイン重視の大規模リニューアルで
新規顧客の獲得とリピート率の最大化を目指す

座間ゴルフ練習場

【CASESTUDY】屋外練習場

<前略>

リピート率引上げを目的に 大規模リニューアルへ

 今回のリニューアルはICカードの導入や打席の床・タイル、カーペットなどを張り替えた2017年以来となるが、いわゆる劣化・老朽化した設備の更新が主であった前回の改装と異なり、計画には草薙氏のさまざまな思いが込められた。
 特にコロナ禍を契機とするゴルフブームのピークが過ぎようとしている現在、リピート率を引き上げることは、生き残りの最大のアドバンテージとなる。同社ではさらに女性や若年層を新たな顧客ターゲットと見込む。

 ブームによって客層は拡大したものの、女性や若者は旧態依然としたイメージのゴルフ練習場より、インドアゴルフを選択する傾向にある。「室内と屋外はまったく別物で、インドアゴルフをライバルと思ったことはありませんが、若いゴルフ人口がふえたのは、スマートでクリーンなインドアゴルフの功績でもあります。ならばゴルフ練習場もそれまでのイメージから脱却し、若い人が来たくなる、あるいは女性を連れて来たくなる、そんな魅力づけが必要だと感じました」(草薙氏)。

 今回のリニューアルは、「スポーツ(本気)」「アクティビティ(活動)」「アミューズメント(遊び)」をテーマに、打席回りは神奈川県では初となる全打席に「トラックマンレンジモニター」を設置したほか、セミオートティーアップを導入、さらにイタリアから取り寄せた白いソファ、同練習場のロゴがあしらわれたクラブ立てを中心に「デザイン」にこだわった。
 また、ゴルフ練習場では珍しい照明デザイナーを起用、打席側は夜間でもボールが見えやすい明るさを確保する一方、通路側の照度は落としメリハリをつけつつ、光だまりが印象的な演出となっている。

 
 フェアウェイの照明もそれまでの3基から11基に増設、明るさを確保するとともに、見栄えをアップさせた。ここで注目されるのは、一般的には専門の設備業者が中心となって工事が進められるのだが、今回は横浜市の個人住宅を主に手掛ける設計会社がプロデュースしている点。草薙氏とともに、同社ゴルフ事業部担当執行役員の青木千洋氏が、草案から二人三脚で進めてきた。
 なお、今回のリニューアルでは打席やクラブハウス、フェアウェイの改装、トラックマンレンジモニターの導入など、約1億2,000万円が投じられた。

リニューアルに先立ち 料金体系を球貸し制から時間制に変更

 リニューアル後、大きく変わったのが客層。狙い通り若い層が増加しているが、なかでも女性客が目立っている。土・日曜に限らず、平日や夜間もその姿が見られるようになった。
 「他の練習場と比べてデザイン性に優れ、きれいであれば、女性に選んでもらえると考えました。また当練習場では、グループで訪れた人たちが少々騒がしくしても、注意しない方針で運営しています。ホームページには、当練習場は活気があるので静かな環境を求められる方にはお勧めできません、と明記しました。カラオケに行くような気安さで、若い方にゴルフに親しんでいただければ」と草薙氏。クラブハウスや打席周りがスタイリッシュに変貌したことにより、SNSで紹介される機会も日に日に増し、それが間接的なプロモーションにつながっている。

 営業は22時受付終了、22時30分クローズとしているが、リニューアル後は平日21時30分の段階でウエイティングが発生している日もあるほど。目標だった商圏の拡大も半径10㎞圏内に届きそうだ。
 一方、わずかだが離れていった常連客も存在する。特に年配客はデザインを重視したリニューアルに対し、気後れする感情が芽生える傾向もあるようだ。加えて、大規模リニューアルに先立つ22年12月からは、土・日曜と平日夜間の料金体系を、従来の球貸し制から時間制へ変更。それまでは1カゴ(約50球)で長時間、打席を占有する古い常連客も存在していたといい、リニューアルや料金体系の変更で意図的に客層の入替えを図った格好だ。

 リニューアルから日は浅いが、客単価は5月期で昨年の1,162円から1,196円とアップ。来場者は昨年比で5月が+6.6%、売上げは+9.6%をマーク。これは従来のボリュームゾーンが時間制で50分と75分なのに対し、休日は利用率7割に達するトラックマン効果もあり75分と100分の利用が延びているためと分析している。
 23年の年間売上げはショートコースやゴルフスクールも含め約1億5700万円。打席当たり200万円を超えれば優秀とされるなか、500万円に迫る(約462万円)レベルに達しているが、これにリニューアル効果が加わることでどの程度押し上げるかが注目だ。

<続きは本誌にて>

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