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浦田啓充[一般社団法人 日本公園緑地協会 常務理事]

【OVERVIEW】
拡大するPark-PFI制度の最近の動向と事業化のポイント

本稿では拡大するPark-PFIの動向を概観するとともに、公園緑地公民連携研究会の提言、国土交通省のPark-PFI 活用ガイドラインの改正のポイント、さらに事業化の各段階において留意すべき要点について解説する。

1.都市公園制度150年の歩みと公民連携

 今年は明治6年に公園設置に関する太政官布告が公布されてから150年の節目の年である。明治6年に発足した公園制度では、その創設初期から民間事業者による飲食店等の施設が立地していた。
 太政官布告により明治6年に設置された東京都の上野公園に現在も営業する「上野精養軒」は明治9年の創業である。当時の東京では、公園の管理運営は独立採算制が採られており、これら公園内の民間施設の地代収入等により公園全体の管理運営が行なわれていた。
 

 都市公園の管理法制として昭和31年に制定された都市公園法では、それまでの公園における民間施設の立地状況を踏まえ、法制度発足当初より公園管理者以外の者による公園施設の設置管理許可が制度化された。占用物件としてではなく公園施設という公園本体を民間事業者が整備管理することができる仕組みが用意されていることが他の公共施設管理法と異なる都市公園法の大きな特徴であり、立法当初より民間事業者とともに公園を整備管理するという精神がビルトインされていたことになる。
その後、平成15年の指定管理者制度の創設、平成16年の都市公園法等の改正(設置管理許可制度の拡充、立体公園制度の創設など)、平成29年の都市公園法等の改正(Park-PFIの創設など)により、都市公園の公民連携の仕組みは時代とともに拡充され今日に至っている。都市公園150年の歩みは公民連携の歴史でもある。

2 .Park-PFI の動向

 平成29年都市公園法の改正において制度化されたPark-PFI制度は全国的にその活用が進んでいる。制度発足当初は既設の都市公園に飲食店や売店を設置しその周辺の公園施設の整備を一体的に行なうような標準的事例が多くみられたが、最近では、既設の公園だけでなく新設の公園整備と一体的にPark-PFIが用いられる事例、公園全体の大規模改修と合わせてPark-PFIを活用する事例、Park-PFIと公園の周辺地域の整備を一体で公募する事例など事業の大規模化、複合化、多様化が進んでいる。Park-PFI制度とともにPFI制度や指定管理者制度が併せて活用される事例もある。また、Park-PFIを展開する公園の規模も小規模なものから都道府県営公園や国営公園などの大規模なものまでさまざまである。

 公募対象公園施設の種類についてみると、飲食系施設が多く見られる一方、宿泊・レクリエーション系施設、文化・スポーツ系施設、これらの多様な施設を複合的に組み合わせたものなど、幅広い種類の施設が整備されるようになってきており、公募への参加企業の業態も多岐にわたっている。さらには、施設整備を主体としたものから、指定管理者制度を併用し、計画から整備、管理運営までを含む総合的なマネジメント事業として展開される事例もみられる。

 Park-PFIの制度が発足してからすでに6年が経過しているが、国土交通省の調査によれば、この6年間で公募設置等指針が公表された件数は131件であり、このうち63件が供用を開始している。毎年30か所前後においてPark-PFI制度が活用されている状況であり、新たに100を超える件数での検討が進んでいる。また、地域別にみると大都市圏での活用例が多いものの、地方都市でもその活用が進んでおり、39の都道府県で活用され、ほぼ全国的に制度が普及している状況である。[図表1,2]

 

<続きは本誌にて>

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