――コロナで急拡大したゴルフ市場ですが、現在の状況はいかがですか。
西村 コロナ禍に多くの方がゴルフをはじめられたのは、スターターセットの販売が非常に好調であったことからも実感できました。特に若者や女性が目につき、練習場では、若者グループが動画を撮影しながら交代でボールを打つなどの光景も見られました。コロナが落ち着いてくるとその勢いに陰りがみえ、スターターセットも以前ほど売れなくなりました。一気に飛びついた若者層を中心にゴルフ離れが起きているようです。
しかし、40歳代から50歳代の女性層は離れていません。子育てに追われて自分の時間をもてなかったけれども、子どもから手が離れたのでコロナ禍を機にゴルフを再開した女性は続けています。リターンマーケットの中心は女性でした。久しぶりにゴルフを再開するためスターターセットを購入し、レッスンを受けて学び直すケースも多かった。ファッションへの関心も高く、アパレルの販売も好調でした。
――新たな市場に対応した練習場やスクールでの取組みはありますか。
西村 プライベート空間でのレッスンを好まれる方がふえました。初心者が多いのですが、中級層までそうした傾向がみられます。完全個室ではなくても、目隠しをつくって半個室にするなどの工夫でもお客さまに喜ばれます。
当社のインドアスクールはオープン打席のみでしたが、一部で完全個室を導入し、マンツーマンレッスンの受けられるV I P 会員を設定したところ非常に好評でした。それ以降、(1)オープン打席のみ、(2)個室のみ、(3)オープン打席+個室といった3タイプを立地に合わせて展開しています。今年3月オープンの「つるやゴルフスクール八重洲」(東京都中央区) は、2室の完全個室でセミパーソナルレッスンを提供しています。
打席には最新の設備を導入 し、レッスンを行なっていますが、情報を常にチェックし、適宜バージョンアップするようにしています。全施設が同等レベルのレッスンを提供できるメソッドを構築するという視点からも最新鋭のスイング解析機の力は必要です。最近は可視化されてわかりやすく、数値などに裏づけられた説明を好む傾向にあります。現在はデータを収集し、試行錯誤しながら、パーソナルに対応できる独自のメソッドの構築を進めています。すべて同じ型にはめるのではなく、スイングには個人差があり、よいところを残しつつ課題を乗り越え、上達に導くといったレッスンに変えていきます。
――練習場、ゴルフスクールの会員数はどれほどですか。
西村 全施設を合計すると約2800人になります。ショップの中心顧客層は50歳代〜60歳代ですが、スクールはそれより若く40歳代前後がコア層になります。練習場は60歳代以上がメインです。
――これからの“練習・スクール”市場をどう捉えていますか。
西村 当社ではゴルフ人口の減少に歯止めをかけ、増加に転じさるためには若年層を取り込んでいかなければならないと考え、練習場事業に続いてスクール事業に参入しました。そもそも当社のショップには若者や女性のお客さまは少なかったので、スクールはショップに新たな客層を呼び込むといった相乗効果も期待し、いろいろな取組みを行なってきました。
<続きは本誌にて>