1,000万人超は2施設、100万人超は14 施設
新型コロナウイルスの感染拡大から早2年半が経過。現在もこの未知のウイルスは変異を繰り返しながら人類に脅威を与え続けているわけだが、ウイルスの特性などが徐々に明らかになり、また、ワクチンの普及・接種が進んだことで、やみくもに人との接触を回避する徒手空拳的“巣ごもり戦術”から、三密を回避しながらの“ウイルスとの共存戦術”へとシフト。長期、複数回に及ぶ休業を余儀なくされた各レジャー施設も徐々にではあるがコロナ禍前の姿を取り戻しつつある。
図表1は、前ページまででみてきた主要5業種(テーマパーク/遊園地/動物園/水族館/博物館)の各上位10施設(計50施設)を2021年度入場者数順に並べたもの。50施設中トップはテーマパーク1位の「東京ディズニーランド・東京ディズニーシー」(TDR)で1,205.4万人、2位が遊園地1位の「ナガシマリゾート」(アウトレット施設「ジャズドリーム長島」などを含む)で1,062万人。2施設が1,000万人の大台を超え3位以下を大きく引き離した。なお100万人以上を記録したのは、テーマパーク3、遊園地3、動物園3、水族館3、ミュージアム2の計14施設であった。
入場者数を年間営業日数で除した1日当たり入場者数ではTDRの約3.3万人が突出し、2位は「よこはまコスモワールド」で約7,000人、3位には「名古屋市東山動植物園」が約6,000人、4位「ラグーナテンボス」約5,200人と続く(不明施設除く)。
図表2は、5業種上位10施設の20年度と21年度の入場者数の合計の増減率を比較したもの。5業種とも20 年度を上回っているが、ミュージアムが20年度比で195%を記録する一方、遊園地が121.4%、動物園は120.6%と伸び率には差異がみられた。
また、図表3は同じく5業種上位10施設のコロナ禍前の19年度と21年度の入場者数の合計の増減率から、各業種のコロナ禍からの回復度をみたもの。動物園(69.6%)と遊園地(66.7%)が19年度比で7割弱まで回復する一方で、テーマパーク(48.7%)、ミュージアム(46.4%)は19年度の半数以下にとどまっている。とりわけミュージアムは、図表2で対20年度比195%と増加率の高さを特筆したが、逆に図表3からは5業種中最も回復が遅れていることがわかる。つまりそれだけ20年度の落ち込みが著しかったということになる。
いずれにしても、19年度との比較では5〜7割程度と各業種とも回復の途上にある。今後も「密」を避けた運営が求められるという前提に立てば、「19年度並み」の集客力を取り戻すのは容易ではない。今春以降の値上げトレンドも手伝って入場料の値上げに踏み切る施設もあるなど、レジャー施設の運営は「客数重視」から「単価重視」へとシフトする転換期にある。
なお同データは、全国の主要有料施設を対象とする「2021年度 集客実態調査」に基づいて集計した(綜合ユニコム㈮が今年10月末発刊予定の『レジャーランド&レクパーク総覧2022』のデータを引用)。
<主要5業種の各ランキングは本誌にて>