いまや、都心の大型商業施設において集客とにぎわい創出のためのキーテナントとして、バルニバービを誘致したケースは数多い。
そのなかでも、2020年8月、同社の全93店舗のうち売上げナンバーワンを飾ったのが、兵庫・淡路島のレストラン&カフェ「GARB COSTA ORANGE(ガーブコスタオレンジ)」だ。
島の西海岸にある、阪神・淡路大震災以降ずっと手つかずだった1,000uの敷地に、約300席のレストラン&カフェをオープンしたのが19年4月。市街地のある東海岸とは対照的に閑散としたエリアだが、瀬戸内海に沈む夕日を一望できる絶好のバッドロケーションに建つ。屋上付2階建ての店舗は、2階の約半分がテラス、屋上は全席テラスとなっており、9月には屋上を改装し、オーシャンビューを間近に感じるカウンター席を増設した。
テラス席はペットの同伴が可能なほか、バーベキューも楽しめる。メニューは、本格薪窯ピッツァと島内の食材を豊富に使ったイタリアン、オリジナルカクテルを提供する。
開業時からの人気は途絶えることなく、客層はおよそ2割が島民、残りが観光客で、全体の約6割を20歳代の利用客が占める。客単価は昼2,000〜3,000円、夜3,000〜5,000円といった具合だ。
「これまでのバッドロケーション戦略と基本的にアプローチは同じです。まだ更地のときに、椅子に座って海を眺めながら『ここにカフェができたら人が来るだろうか』と想像して、自分が来たいと思う店がつくれれば絶対に来ると確信しました。人がまったくいないことに対しての不安はありましたが、そこに不意にこんなお店が現われたら感動するはず。インパクトとワクワク感が大きかったぶん、楽しみのほうが大きかったです」と、同社代表取締役社長の佐藤裕久氏は振り返る。