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売上高は7~9割水準まで回復
オンラインや小規模イベントが集客に奏功

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  • 新型コロナウイルス

約1割が前年超えも回復途上で施設間の格差広がる

 新型コロナウイルス対策が長期化するなかで、7月からはイベントの開催制限が緩和、東京発着の旅行を除く「Go Toトラベルキャンペーン」がスタートした。今年は小中高校の夏休みも短縮され、例年のような繁忙期にはほど遠いものの、感染予防を徹底しながらの営業に客足も戻りつつある。
 今回調査で、7~9月の売上高への影響について聞いたところ、それぞれの月で「10~30%減」のカテゴリーが最も多くなった[図表1]。6月は売上高が半減以上(51%以上減の合計)に分類されたのは回答全体の約半数に及んだが、7月33.0%、8月29.5%、9月20.7%と、月を追うごとに回復基調がうかがえる。

図表1 売上高への影響(前年同月比)

 ホテル・旅館、博物館・美術館・科学館・ミュージアムは、9月でも51%以上減に分類される回答率が高くなっており、需要減速の影響が長引いている。
 コロナ禍の不況は「7割経済」と称されるが、これに当てはまる30%減以下の分類を主な業種の回答率でみると、パチンコホール77.8%、アミューズメント施設75.0%、フィットネスクラブ71.4%などとなっている。
 また、今回調査から「前年同月比プラス(1%以上)」の選択肢を新たに設けた。回答の割合をみると、7月10.2%、8月6.8%、9月13.8%となっており、業種ではゴルフ場・ゴルフ練習場、動物園・水族館がいずれの月にも多く、9月にはこれに公園・アウトドア施設が加わった。
もともとゴルフはコアなプレイヤーに支えられた市場を有しており、コロナ禍では屋外で密を回避しながら、リフレッシュを兼ねてプレイしたりと、需要の回復スピードは早かったようだ。
 参考までに、パシフィックゴルフマネージメント鰍フ月次営業実績をみると、既存店ベースの139コースの営業収益は、緊急事態宣言下の4月、5月は前年同月比6割の水準だったが、7月90.4%、8月106.4%、9月91.3%となっている。

業績回復への課題は社内リソースの不足

 コロナ禍の影響が続く業績の回復に向けて、注力して取り組む施策を尋ねた[図表2、3]。

図表2 施策の推進に向けた課題        図表3 業績回復に向けて注力して取り組む施策

 「コスト削減」(58.6%)と「市場ニーズの変化に対応した新商品・サービスの開発」(52.9%)が5割を超えた。その他では「既存会員の利用率向上」「利用客の囲い込み」などの回答がみられ、外出機会の減少やインバウンド市場の消滅により、既存の事業基盤を最大活用することで売上効率の改善を図っていきたい考えだ。
 これらの取組みを推進していくうえでの課題には、「人材」「資金」「ノウハウ」をはじめ社内リソースの不足が多くあげられた。また冬期に懸念される感染の再拡大を含め、この先のコロナ対策の見極めにも腐心している様子がうかがえる。
 今後は、足元の需要回復に向けた努力と並行して、コロナ禍で失われた、あるいは台頭するニューサービスとの競争、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの社会変化への対応も進めていかなければならないだろう。
 第1回目のアンケート調査では、「コロナ対策をめぐる経営陣と運営現場の意識のギャップ」を課題にあげていた企業があった。
固定費圧縮のためにオペレーション人員が削減されるなか、未曾有の危機にあっても強い企業は、顧客と最も近い接点をもつ現場に経営資源を再配分している点にあらためて着目したい。
(残る8項目の集計結果については本誌で)
  
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