MarketData01――拠点都市の葬祭市場を読み解く
人口減少社会を迎えた日本は、2040年に向かって死亡市場が拡大するとされている。その結果、各地の葬祭市場はどう変化していくのか。
本企画は、全国の中核市の葬祭市場を各種データから読み解き、今後の出店・サービス戦略等のヒントとしたい。
第1回は、23年1月にニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52か所」に選ばれた岩手県盛岡市である。
盛岡市の会館事情はこの四半世紀で大きく様変わりした。同市には60余りの寺院が存在し、昔からの檀家制度が色濃く残っていることから、本誌1998年4月号のエリアレポート盛岡市編で取り上げた当時は「9割以上が寺院葬」とされていた。葬祭事業者の自前の会館は当時2社2会館。しかし現在、葬祭事業者の会館は7社2組合1団体の47会館で(ほか寺院会館が1か所)、自前の会館をもたない葬祭事業者は数社しかない。
そのうち、ほとんどの会館は市街地を貫く鉄道各線の駅前周辺と幹線道路の国道沿いに建っており、それらで全体の8割以上を占める。特に国道4号沿いが多いのは、市営火葬場「盛岡市斎場やすらぎの丘」(炉数9基、併設式場なし)が同国道近くに建っていることが影響していると思われる。
23年の死亡数は3,747人なので、寺院会館を除いた1会館当たりの死亡数は79.7人(3,747÷47)となる。盛岡市の人口、死亡数の推移は図表1の通りだ。
(市内の会館分布や所在地一覧、市場動向の詳細は本誌で)