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――Sogi.jp代表 古家 寛

新聞訃報情報に見るコロナ禍の影響と終焉

筆者は2014年から全国紙(日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞など)をはじめ、地方紙(東京新聞、岩手日報、福島民友、京都新聞、神戸新聞など)、業界紙(日刊水産経済新聞、日刊鉄鋼新聞、建設通信新聞、文化通信)等のWebページより毎月150~200件程度の訃報を収集してきた。
対象は政・財界人、文化人、芸能人など、全国もしくは地方で著名とされる人とした。
今回、コロナ禍から現在までの訃報を分析し、その考察をお伝えしたい(23年4月分は、20日までの集計)。

近親者のみの葬儀の割合の推移

 近親者のみの葬儀の割合(図表1)をコロナ禍から振り返りたい。2020年3月、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正により新型コロナウイルス感染症が新型インフルエンザ等(2類相当)とみなされた時期から、近親者のみの葬儀の割合は急速に高まった。以降、22年9月までの2年6か月、その割合は50~70%の高い範囲で推移した。コロナ禍の葬儀は、近親者のみの葬儀の割合が高いことが見て取れる。
 22年10月に近親者のみの葬儀の割合が50%を切ると、その傾向は変わった。12月から今年1月にかけて第8波を迎えながらも、近親者のみの葬儀の割合が再び高まることはなく、40~50%の範囲で推移した。その後、2月(40.78%)、3月(37.30%)、4月(29.55%)と急速に低下した。これは20年3月以前の水準と同等であり、23年4月現在、訃報における近親者のみの葬儀の割合は3年を経てコロナ禍前の水準に戻った。

お別れ会の件数の推移

 お別れ会の件数の推移(図表2)を振り返ると、コロナ禍前は1か月当たりの平均が13件だった。20年3月、近親者のみの葬儀の割合が高まると同時に、お別れ会の件数は低下した。4月から6月はゼロ件、以降21年10月までの平均件数は3.5件となり、お別れ会を控える傾向が続いた。
 お別れ会の件数が回復したのはコロナ禍がはじまって1年半後の2年11月で、16件を数えた。9月30日に緊急事態宣言が解除され、行動制限が段階的に緩和されたことが転機となった。以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間を除いたお別れ会の平均件数は12.5件とコロナ禍前の水準に戻った。
 お別れ会の開催は1~2か月前に告知されるので、社会情勢の変化に応じて延期もしくは中止されることがある。22年1月~2月の第6波、8月の第7波、12月~23年1月の第8波の期間に、お別れ会の件数が一時的に低下したのは、こうした社会情勢の変化による延期や中止の影響があったのだろう。

月刊フューネラルビジネス2023年6月号
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(「Withコロナ」時代における葬儀の今後の考察は本誌で)

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