道の駅は制度開始から30年が経ち、1,221施設が登録されています(2024年8月現在)。道路の休憩施設として始まり、各地域のニーズや立地状況に応じて地域センターや防災・観光の拠点など、その役割は拡大・多角化しています。いまだ新規施設の開発が続いている一方で、多くの施設がリニューアルのタイミングを迎えており、近年はPPP等官民連携の仕組みを活用しながらまちづくりの地域機能の一つとして道の駅を開業する事例もふえています。
他方で、制度開始以来閉鎖となった道の駅はわずか4件にとどまるものの、機能縮小や補助金の活用でしのいでいる不採算施設も少なくありません。補助金ありきの運営計画で地域の財政を圧迫している事態も一部で散見され、より適正なハード設計とソフト戦略の工夫が求められています。
本書では道の駅の業界動向を押さえながらその価値と役割を確認しつつ、独立採算を叶えるハード・ソフトのあり方を詳解いたします。
(一社)道の駅経営パートナーズ
「道の駅を地域の原動力に」をミッションに掲げ、2018年に8人の理事で設立したプロフェッショナル集団。道の駅の経営に必要なマーケティング、ブランディング、商品開発、飲食事業改革、品質管理、財務、新規事業開発、資金調達など、メンバー個々の専門知識と経験を活かし、必要に応じた編成チームで道の駅経営改善に取り組んでいる。地域特性や環境に合った方向性を見出し、施設の可能性を最大限に引き出しながらその地域ならではの「道の駅」を実現し、 地域に「人、モノ、カネ」を呼び込む拠点となる支援を目指している。2023年7月に(一社)全国道の駅連絡会との相互協力協定を締結。
1. 制度の概要
(1)登録状況
(2)道の駅の運営者
(3)道の駅の売上動向
2. 道の駅の機能の変化
(1)道の駅の役割
(2)道の駅の変化
(3)機能の多様化と役割の変遷
(4)観光拠点としての役割
(5)市民ニーズを叶える場としての役割
(6)まちづくりの核としての役割
(7)今後の道の駅をめぐる課題
1. 設置の目的設定
2. 適正規模の把握のための立地環境分析
(1)交通量モデルによる入込数想定
(2)シェアモデルによる立地環境の把握
①立地特性の分析
②類似施設の分析
3. 需要額の算出による適正規模の把握
(1)適正規模を導き出す2つの方法
(2)2つの方式による検証傾向
(3)施設規模の傾向
4. 事業スキームと推進プロセス
(1)分離発注方式
(2)EOI方式
(3)DBO方式
(4)PFI方式
5. 導入機能の選択
(1)道の駅の目的と機能
(2)目的に応じた機能選定と優先順位の重要性
(3)収益を圧迫する複数の要因
(4)道の駅に今後求められる公的機能
6. 売上の考え方
(1)売上高の算定とロジックツリー
(2)KPIと施策の展開
7. 収支計画
(1)事業計画策定
(2)収支計画作成のポイント
(3)資金繰りの重要性
(4)初期投資の考え方
(5)指定管理料の考え方
8. 施設計画
(1)駐車場
(2)物販・直売
①物販コーナーが目につきやすいゾーニング
②売上構成と連動させた売場構成(物販部門)
③客導線とオペレーションの容易化を考慮した配置
(3)飲食
1. 組織体制
(1)管理委託
(2)指定管理-第三セクター
(3)指定管理-地元有志
(4)指定管理-ノウハウのある民間事業者
2. 収益を上げ続ける「道の駅」に必要な組織・体制
(1)「優秀な『駅長』を入れれば解決」ではない
(2)「普通の会社」の組織体制にならう
3. 人材教育
4. コスト管理
(1)最も重視すべき費用項目
(2)原価や人件費は業界標準値をもとに乖離をみる
5. 道の駅とデザイン
6. 商品開発
(1)PB構成、名物商品化
(2)飲食メニュー構成
(3)FFの強化
7. 情報発信
[新設]
1. 道の駅とよはし(愛知県豊橋市)
既存施設を拡充、市とJA出身者が協調して運営し、開業4年8か月で来場者数1,000万人を達成
2. アグリサイエンスバレー常総/道の駅常総(茨城県常総市)
地域農産物の販路拡大を担う道の駅を核とした「農業6次産業化」の拠点
[リニューアル]
3. 道の駅しかべ間歇泉公園(北海道鹿部町)
スタッフの意識改革と消費者マインドに突き刺さるPB商品の開発で高収益体質へと改善
4. むつざわスマートウェルネスタウン・道の駅・つどいの郷(千葉県睦沢町)
「道の駅」と「地域優良賃貸住宅」を一体整備官民連携で地域のさまざまな課題解消に取組む
5. 道の駅若狭おばま(福井県小浜市)
物販施設の民間譲与で積極的な投資と整備・運営の一体化を実現、客単価・売上ともに向上
綜合ユニコム株式会社 企画情報部
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