コロナ禍の収束がみえてもEC市場(ネット通販)は年々拡大の一途をたどり、引き続き全国各地で物流不動産の開発が進められています。常温倉庫はもちろんのこと、特に冷凍冷蔵倉庫は改修・建替えが顕著であり、さらに市場拡大の様相を呈しています。これに伴い、オーナーやアセットマネジメント(AM)サイドからPM業務の高度化が期待され、委託者ニーズに応えられる物流倉庫の運営管理、リーシング機能等のスキルが重要なポイントになっています。
そこで本書では、物流不動産を施設タイプごとに分け、PM受託時の留意事項を時系列・体系的に整理。さらには委託するBM会社の選定から費用の試算などセットアップ時のマネジメント実務を詳解し、プロパティマネジャーとしてのリーシング戦略から施設の維持管理等、スマートロジスティクスに対応するオペレーションスキルを開示します。
成熟期に入った物流不動産をいかに安定運用するか、開発計画・運営管理を行う事業者をはじめ、金融・投資関係者などの実務資料として、関連事業者の皆様にぜひともご購読をお薦めいたします。
古川武史 ㈱JPM 代表取締役社長
1990年より㈱シーアールイーにて物流不動産を中心とするマスターリース業務に従事し、主にPM受託物件の管理・リーシングを担当して物件の価値向上を、貸主視点でのPM業務で展開。2018年、物流施設・商業施設・工場・底地等、事業用不動産の管理・仲介、事業用不動産の売買・開発に関する実践及び助言を行う㈱JPMへ移籍し、代表取締役社長に就任。これまでの物流不動産PMの経験を活かして、大型物流不動産のPMを強化。現在、マルチテナント型からシングルテナント型まで管理面積14万坪を超えた。自社で構築したプロパティマネジメントシステムを、今後他のPM会社へ展開していく。
1. 成熟期の物流不動産
(1)物流施設の市場動向
①倉庫の建築物着工面積及び建築費(予定額)
②宅配便取扱数と物販系分野BtoC-EC市場規模
(2)物流施設の課題
①人手不足(物流2024年問題)
②長時間労働・人件費問題
1. AM会社から期待されるPM業務とは
(1)受託物件の整理
(2)業務期間のイメージ
(3)報酬の種類
①竣工前
②竣工後
③見積書の作成
2. PM業務委託契約締結時
(1)契約の種類
①施設稼働準備業務委託契約
②PM業務委託契約
③PBM業務委託契約(施設管理業務委託契約)
1. 新築物件
(1)施設稼働準備業務
①設備保守体制の構築
②管理運営体制の構築
③入居前工事の対応
④その他
2. 既存物件
(1) 前管理会社からの引継ぎ
①アカウント入出金
②PM(運用)
1. 体制と役割
(1)PM(プロパティマネジャ―)
①リーシングマネジメント
②テナント管理
③請求出納管理
④建物管理
⑤修繕管理
(2)CM(コンストラクションマネジャー)
(3)RT(レポーティングチーム)
①人員体制
②役割分担
2. プロパティマネジメントシステムの重要性
(1)PMレポートに記載する事項の整理と進捗管理
3. 施設維持
(1)設備ごとの修繕計画の策定
(2)中長期修繕計画:予算化・実施時期・優先順位の策定
(3)BCP(事業継続計画)策定
①危機管理マニュアルの策定
4. 周辺物件調査
(1)建物概要
(2)運用会社
(3)賃借人
(4)荷物
(5)面積
(6)賃料
(7)契約期間
5. 最新物流倉庫のトレンド調査
(1)縦搬送設備
(2)アメニティ施設
(3)空調設備(クーラー)
(4)太陽光発電と蓄電設備
(5)非常用発電設備の有無
(6)大型車待機場
(7)高圧ケーブルの水トリー現象
(8)停電時の電力供給方法
1. 定期建物賃貸借契約書(対テナント)
2. 事業用建物管理委託契約書(対オーナー)
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