賃貸管理物件において、日常発生するテナント、施設利用者、近隣とのトラブル・クレームは多岐にわたり、その対応に専門的な知識が要求されるケースも増えてきました。法令遵守はもちろん、不動産賃貸に関わる十分な理解がないと、誤った対処によりさらに大きなトラブルに発展するリスクもあり、法的知識を理解したうえでの初動対応が求められます。
また、賃貸管理会社にとって、適切な対処と早期の解決は、円滑な賃貸管理と不動産オーナーからの信頼向上に欠かせません。
第1編「法的知識と契約条項における留意点」では、基礎知識として、定期建物賃貸借契約をはじめ主な契約条項における留意点と有効性を理解し、トラブルの未然防止に必要な法的知識を深めることができます。
第2編「実例集~トラブル対処・トラブル回避のポイント」では、契約内容の変更、電気料金の請求、賃料未払い、敷金の差し押さえ、車両放置など、賃貸管理物件でよくある事案を中心に35事例を収載。法的根拠や裁判例、和解したケースを示しながら、陥りがちなミスを防ぐとともに、トラブル対処の実務とスキルを習得します。
第3編「賃貸借契約書の参考条項」では、普通建物賃貸借契約書、定期建物賃貸借契約書の条項ごとに、トラブルを回避するための具体的な明記の方法を開示します。
長期的な不動産賃貸運用と有用な資産維持を目指す、不動産オーナー、デベロッパー、PM会社の皆様にご購読をお勧めいたします。
田中利生 フォアフロント法律事務所 弁護士
1969年生まれ。日本大学法学部卒業。第二東京弁護士会所属。土地賃貸借関係、建物賃貸借関係、区分所有法関係など、多くの不動産関係の案件を取り扱う。過去には、建替えのため、店舗・事務所・住居等の複合用途に供している300戸余の賃貸物件(普通借家160戸余、普通借家から定期借家への切替え済み40戸余、定期借家100戸余)の明渡し案件を3年間かけて任意交渉から明渡しの裁判(10戸余)までを行ない、明渡しを完了させた。その後も、明渡しにとどまらず、賃貸管理にかかる案件についても、アドバイス、任意交渉、または訴訟追行を行なっている。2022年9月発刊の「建物明渡請求と立退料の交渉実務資料集」(綜合ユニコム刊)の執筆を担当。
1. 民法上の賃貸借契約
(1)契約期間
(2)法定更新等
(3)善管注意義務
(4)賃貸物の修繕等
(5)賃貸物の滅失
(6)無断転貸、無断譲渡の禁止
(7)賃料の支払い等
(8)債務不履行に基づく損害賠償責任
(9)解約の申入れ
(10)解除
(11)原状回復
(12)敷金
(13)違約金等
(14)中途解約
(15)保証
2. 借地借家法
(1)契約期間
(2)法定更新等
(3)賃料増減額請求権
(4)賃貸人からの解約の申入れ
3. 定期建物賃貸借契約
(1)要件
(2)電磁的方法による提供
4. その他契約条項における留意点
(1)目的
(2)更新料
(3)管理費、電気料金、諸費用の請求
(4)消費税
(5)届出事項
(6)工事区分、資産区分
(7)公租公課
(8)付保険
(9)反社会的勢力の排除に関する条項
(10)合意管轄(専属的合意管轄)
(11)協議事項
(12)特約
1. 手数料を加算して電気料金を請求する場合の留意点
2. テナントからの賃料減額請求を受けたときの対処法
3. テナントが共用部分を使用したい旨を申し入れた場合の対処法
4. テナントが用途変更を申し入れた場合の対処法
5. テナントにて経営主体の変更等が生じたときの対処法
6. 賃料等未払いテナントの対処法
7. 預かり敷金が差し押さえられたときの対処法
8. テナントが倒産及び破産したときの対処法
9. 個人テナントが死亡したときの対処法
10. 賃貸管理物件で自殺があったときの対処法
11. 賃貸借契約における違約金等を請求する際の留意点
12. テナントとの契約が業務委託契約であるときの対処法
13. テナント間でトラブルが発生した場合の対処法
14. 定期建物賃貸借契約締結の際の留意点
15. 定期建物賃貸借契約につき契約内容を変更する際の留意点
16. 普通建物賃貸借契約から定期建物賃貸借契約に切り替える際の留意点
17. 定期建物賃貸借契約を再契約する際の留意点
18. 定期建物賃貸借契約における終了通知を遅滞した場合の対処法
19. 定期建物賃貸借契約の終了通知後もテナントが退去しない場合の対処法
20. テナントが原状回復義務を履行しない場合の対処法
21. 賃貸管理物件内で顧客が転倒したときの対処法
22. 賃貸管理物件内の駐車場で交通事故が発生した場合の対処法
23. 賃貸管理物件内の駐車場に車両を放置された場合の対処法
24. 顧客からの賃貸管理物件に対する苦情への対処法
25. 近隣からの苦情への対処法
26. 電気料金等を誤請求したときの対処法
27. サブリースにて賃貸管理している場合の留意点
28. テナント指定の内装業者による施工の留意点
29. 賃貸管理物件で漏水が発生した場合の対処法
30. 賃貸管理物件で火災が発生した場合の対処法
31. オーナーが賃貸管理物件を売却する場合の対処法
32. 個人オーナーが死亡等した場合の対処法
33. 賃貸管理物件の耐震性が不足している場合の対処法
34. 賃貸管理物件の建替えに向けた対処法
35. 区分所有建物における賃貸管理の留意点
1. 契約書の有無
2. 冒頭に契約要項を記載する方法
3. 普通建物賃貸借契約固有の条項
(1)頭書
(2)賃貸借契約の締結
(3)契約期間条項
(4)更新条項
(5)更新料
(6)賃料の改定
4. 定期建物賃貸借契約等固有の条項
(1)事前説明
(2)契約の締結
(3)契約期間等
(4)賃料増減額請求権の排除
5. 共通の条項
(1)目的
(2)固定賃料
(3)歩合賃料
(4)管理費
(5)敷金、保証金条項(償却も含む)
(6)電気料金、諸費用
(7)遅延損害金条項
(8)消費税
(9)善管注意義務
(10)修繕
(11)禁止行為等
(12)届出事項
(13)反社会的勢力の排除に関する条項
(14)債務不履行に基づく損害賠償責任等
(15)工事区分、資産区分
(16)公租公課
(17)付保険
(18)滅失等
(19)中途解約禁止条項
(20)(条件付中途解約条項)(事業用)
(21)解除条項
(22)原状回復義務条項(事業用)
(23)使用損害金条項(事業用)
(24)保証条項
(25)専属的合意管轄裁判所
(26)協議
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