葬祭業の経営動向アンケート調査2023
この6月、編集部では「葬祭業の経営動向アンケート調査2023」を実施した。今号では、その集計結果をお届けする。〈中略〉
図表29は、19~22年における平均会葬者数の分布の推移である。当然ながら、コロナ禍以前から、会葬者数は減少傾向にあることが指摘されていたが、19、20年の「10~29人」をみると、15.8%→38.3%と22.5ポイント増となっていることからも明らかなように、「3密防止」をはじめ会葬自粛の影響はいまだにその尾を引いているといわざるを得ない状況だ。その証左に、「50人未満」に絞ってみれば、19年37.4%→20年66.6%→21年71.7%→22年71.0%と推移し、いまでは全体の7割が50人を下回る会葬規模になりつつあることを示している。
では、地域別ではどうか。図表30が22年の地域別の平均会葬者数を表わしたものである。これによると、「中国・四国」では回答7社すべてが50人未満の会葬規模であるとしており、「南関東」と「近畿」では「70人未満」となっている。
一方、以前から地縁などが色濃く残るとされている「東北」「北関東」「北陸・甲信越」「東海」「九州・沖縄」では「50人以上」と回答する企業が少なくなく、特に「北陸・甲信越」「九州・沖縄」はともに「100以上」が15%前後を示すなど、従前の一般葬がいまだ健在な地であることを示していよう。
コロナ禍への各種対策が徐々に緩和されつつあった22年の1件当たりの平均施行単価はどうだったのか。図表34が全国ならびに地域別にみたものである。
これによると、全国的には「80万円以上100万円未満」が34.9%と最も多く、次いで「100万円以上」(22.9%)となっており、この2つで6割弱と、会葬者減が叫ばれるなかでも「80万円以上」の平均施行単価となっていることがわかる。逆にいえば、これ以下の単価で推移している事業者については、後述する提供サービスメニューの見直しなど、何らかの方策を早急に検討すべきだといえる。
地域別には、「近畿」「九州・沖縄」は単価分布が全国と似た傾向にあり、「60万円未満」がなく全体的な底上げがみられるのが「北陸・甲信越」と捉えることができる。「100万円以上」の平均施行単価が3割前後を占めるのは、「北関東」(30.8%)、「東海」(31.3%)、「九州・沖縄」(28.6%)の3地域。
当然ながら、回答企業の事業規模によって若干の差は生じるものの、本誌を手にしている読者にとって図表34は、平均施行単価のベンチマークとして今後の参考にしてもらいたい。
前項で、22年中の葬儀1件当たりの平均施行単価をみたが、係る状況を背景に、「23年の葬儀部門の売上げ見通し」について尋ねたのが図表35である。
中央にある円グラフは「対22年に対する売上げ増減についての見通し」で、右側の円グラフは「増加」と回答した企業における「増加率の見通し」を、左側の円グラフが「減少率の見通し」をそれぞれ表わしたものだ。これによると、実に73.4%が「増加」と回答しており、昨年実施したアンケートにおける55.1%を18.3ポイント上回っている。
さらに、増加率をみると「10%以上20%未満」が48.8%とほぼ過半数を占める勢いとなった。これは、この5月8日以降、5類相当へと移行した新型コロナウイルス感染症による自粛モードからの脱却によるV字回復を見込む事業者が多いということだろう。
一方、減少と回答した企業においても、その割合は「10%未満」と見込む企業が75.0%となっており、昨年の回答(59.3%)から15.7ポイント減の結果を示した。
参考までに、図表36で地域別による23年の葬儀部門の売上げ見通しを示した。まず特筆すべきは、「南関東」と「中国・四国」の2地域では「減少」した企業がなく、「横ばい」か「増加」と見通していること。全国的にみれば、母数が少ないためこの結果が各地域の傾向だと断じることはできないものの、総じて6割以上が増加すると予測している。