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【CASESTUDY】
GRAND VERDE RESORT

環境・眺望を活かし、
サービスに見合った料金で名ばかりではない本当のグランピングを

約25万㎡の草原を取得してグランピング事業に新規参入

(前段略)

 グランピング事業への参入を決断したのが21年春。早速、紹介された土地を見に行って気に入り、購入を即決した。そこはかつての牧草地で、地域の人たちの手で美しい草原が保たれていた。広さは約25万㎡。自然の起伏に富み、丘陵と谷が織り交ざった地勢の向こうに標高1 0 0 0 m 前後の山々が重なる。この景観を守りながら、草原を活かせる施設を、地域の人たちも望んでいた。

事業再構築補助金を活用 初期投資額は約2億円

 計画を進めながら、上田氏は国内各所のグランピング施設を視察して回ったが、実際に宿泊してみると、サービス内容と料金のバランスがとれていないように感じることもあった。いまは目新しさで富裕層を集客できているけれども、「料金に見合ったサービスの提供がなされなければリピートされないのではないか」(上田氏) と、そのやり方を懸念した。ほかにも気になる点があった。

 1万㎡ほどの敷地に10〜12棟を配して空間に余裕がなく、自然環境や眺望も活かされていないことだ。

 そのような点を先行施設のウイークポイントと捉え、計画では、(1)変化に富むロケーションを最大限に活かした眺望が各宿泊棟から楽しめる、(2)利用客目線でサービスに見合った料金設定、(3)施設内アクティビティの充実、をグランヴェルデリゾートのコンセプトとして掲げた。

 「ホテル並みの快適な空間に滞在して大自然とふれあえる、本当のグランピング(グラマラス+キャンピング) の実現を目指しました」(上田氏)。

 開発にあたり、事業再構築補助金の公募に「キャンプ場、グランピングにアクティビティを備えたグランヴェルデリゾート計画」として申請し、第3回公募で採択された。初期投資額は用地費を除いて約2億円。元牧草地なのでインフラは整備されておらず、電気や水道等を敷設している。事業費のうち約1億3000 万円が事業再構築補助金の対象となり、3分の2にあたる約8000 万円が支給される。

環境・眺望を意識し自然の地形を活かしたレイアウト

 グランヴェルデリゾートは、由布院駅から車で約15分、大分市内や別府市内から同約30分に位置する。大分自動車道の由布岳スマートI C から同約5分で、福岡市内からも1時間30分程度の距離である。
 先述のように約25万㎡の広大な敷地は、管理棟を中央にグランピングエリアとキャンプエリアに分かれている。

 管理棟はフロント機能に加え、コインシャワーやトイレ、洗い場、売店といったキャンプエリア利用客の滞在をサポートする設備を備えたほか、同社が手がけ、湯布院で大人気のコロッケ店「金賞コロッケ」を開設した。

 グランピングエリアには、カップルからファミリー向けまでのドームテントを15棟設置。宿泊は自然の名に由来し、テーマカラーの異なる天(4棟)、光(3棟)、森、湖、地、風(以上、各2棟)の6つのコンセプトで構成され、うち3棟はペット同伴可能でドッグランに隣接している。各棟は、造成していない自然のままの地形の見晴らしのよい場所を選び、プライベートが保たれるように十分にスペースを空けてレイアウトされた。各棟から望む景色は同じものが一つとしてない。ビニール製の透明窓も独自技術のアクリルガラスに換装しているため、経年劣化で濁っていくことはなく、屋内からの視界は常にクリアだ。

 

 各棟には個別にユニットバスとトイレが備えられ、イギリスのアロマセラピーアソシエイツ社のシャンプー、コンディショナー、ボディジェルなどアメニティも充実させた。また、各棟専用のファイヤーピットがあり、夕食後の焚き火を囲んだくつろぎの時間を演出する。
 付帯施設としては、グランピングエリアの宿泊客が無料で利用できる、男女別の露天風呂とバレルサウナを設けた(キャンプエリアの宿泊客が利用する場合は2500 円)。露天風呂では自然と一体となったかのような開放感が味わえ、定員8人のバレルサウナは出入口の反対側をガラス張りとして絶景を眺めながらサウナを楽しめる。このほかウッドデッキにロングカウンターを設け、キッチンカーからドリンクやピザなどの軽食を提供するカフェ&バーを整備した。

<続きは本誌にて>

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