――22年1月、フォートレス・インベストメントグループに入られたことが大きなトピックとなりました。フォートレスからの資本・業務上の支援のもと、今後どのような成長戦略を描かれているのでしょうか。
石井 フォートレスは21年時点で約539億米ドルの運用資産を有する国際的な投資ファンド運用会社です。1998年に設立され、07年2月にニューヨーク証券取引所に上場、米国初の上場代替投資運用会社となり、17年12月、ソフトバンクグループ㈱の子会社となりました。
当社としては、フォートレスのそうした国際的な経験、グローバルな知見をゴルフ場経営に採り入れることを目指していきます。たとえば、彼らのホテル運営のノウハウをゴルフ場のDX、たとえば、ダイナミックプライシングなどもホテル業界のようにより緻密化・高度化した仕組みをつくっていく。また、先の話になりますが、彼らのノウハウをゴルフ場のCRM(顧客管理)にも活かせないかと期待しています。
加えて、フォートレスでは「ホテルマイステイズ」や「かんぽの宿」からリブランドされた「亀の井ホテル」など、国内に159もの宿泊施設を保有していますので、グループの強みを活かした「宿泊+ゴルフ」といった取組みにもこの先つなげられればと考えています。
――DXやCRMで具体的にこれから取り組んでいくべきこととは。
石井 DX、すなわちデジタルトランスメーションの本来の意味は「デジタルな情報をリアルタイムでつかみ、経営に活かしていく」ということです。単なるデジタル化ではなく、それを経営に活かさなければなりません。その意味でいうと、当社のDXはまだまだです。たとえば、当社のダイナミックプライシングですが、需要の多寡に合わせてプライシングを変動させることはできますが、それがジャストタイムで反映されないという課題があります。予約や決済といったデジタライゼーションはもはや当然のこととして、大事なのはそこから得られる情報をどう活用するかです。そうした課題を集中的に改革していくつもりです。
CRMについては、単なる顧客の数ではなく、カスタマー1人ひとりの顔が見える情報、たとえば単に「30歳代・女性・東京在住」というような表層的な属性だけでなく、理想論ですが行動履歴や購買情報まで把握したうえでサービスに活かしていくような、より深い情報を得られる仕組みづくりが必要だと考えています。
――23年以降はゴルフに限らずインバウンドが大きく動くと期待されています。インバウンド対応についてはどのようなお考えでしょうか。
石井 インバウンド対応については当社でもすでにプロジェクトチームを組み注力しているところですが、特に注目しているのは韓国です。昨年は韓国のゴルフ人口が日本のそれを超えたことがニュースになるほど韓国でのゴルフ人気は高く、日本に観光ではなくゴルフ目的で訪れる人たちも多くなるとみています。ゴルフ目的のインバウンドが全国に展開する当社ゴルフ場を訪れることで地域経済の活性化にも貢献できますので、韓国の旅行エージェントと連携して積極的に取り組んでいきます。また、ここでもフォートレスの国際的なコネクションが活きてくることになるはずです。
当社ゴルフ場は基本的にキャディを同伴しないセルフプレイとなっていますので、成田空港や関西空港周辺、また九州のゴルフ場などから、まずはカート道の警告看板などを多言語対応させるなど、受入れ準備を進める予定です。
<続きは本誌で>
<会社概要>
会社名 | ㈱アコーディア・ゴルフ |
本社所在地 | 東京都品川区東品川4-12-4 品川シーサイドパークタワー |
設立 | 2020年8月 |
資本金 | 5,000万円 |
代表者 | 代表取締役 社長 CEO 石井 歓 |
従業員数 | 8,533人(※2022年3月末現在、パート・アルバイト含む) |
事業内容 | ゴルフ場の運営・管理 |
保有施設数 | ゴルフ場170、ゴルフ練習場27(うち契約4)(※2022年11月現在) |