――PM編集部
2022年の本調査では前年より5社増の213社からアンケート回答を得た。受託面積は前年比で5.6%増加した。コロナ禍や、今年2月のウクライナ侵攻にはじまるエネルギー危機と世界的なサプライチェーンの混乱による物価高騰など、今年の社会経済は混迷を深めるばかりだが、相対的に打撃の小さい住居やEコマースで需要が拡大する物流施設などにおいては、PM事業も堅調な様相を見せている。
前年と今年における受託面積の推移をアセットタイプ別にみると、すべてのタイプが総面積、平均受託面積ともに前年を上回った。とくに商業中心型は前年比25.7%と伸びが著しい。これはJLLモールマネジメントがジョーンズ ラング ラサール(JLL)本体の商業施設運営部門と統合のうえJLLリテールマネジメントに社名変更、受託面積が3倍近くまで膨れ上がったことが要因である。
図表は商業中心型の受託面積上位ランキングである。何といってもJLLリテールマネジメントの前年比185.4%増が目を引く。それ以外にも東急不動産SCマネジメント(2位)の前年比11.7%増が注目される。東急不動産および同社をスポンサーとするファンド・REITと連携したPM事業の強みが発揮されていると推測される。
ちなみに本誌では、総合型+オフィス中心型(40社)、住居中心型(40社)、商業中心型(15社)、物流中心型(10社)のランキング、物件タイプ別の取扱い比率の変動を掲載している。
PM担当者総人数をアセットタイプ別に比較すると、総合型では101名以上が20.6% (前年15.8% )、51~100名も20.6%(同15.8%)、合わせて41.2%を占めており、前年の31.6%から9.6ポイントも増加している。
一方で総合型といえども、10名以下の企業は前年の44.7%から38.2%へと6.5ポイント減少しており、真逆の関係となっている。総合型の場合、少人数のPM担当者では多様なアセットタイプへの対応が困難なのは明らかであるが、少人数の総合型PM会社が事業として成り立つのは、取扱う物件数がわずかにすぎないことを示している。こうした企業では、従来の不動産管理業務をただPMと言い換えているだけという実態が浮かび上がってくる。換言すれば、それでよしとするオーナーもいるということであろう。PMという概念が理解され、事業として成り立つようになって20年が経過したが、不動産投資市場の拡大に伴う業務として、改めて見直すべきものがあるようにも思える。
PM専任者の配置状況をみると、着実に配置比率が増加しているのが、アカウンティング担当とエンジニアリング担当である。前者は2年前から9ポイントも比率が増えており、後者も2年前に対し6.8ポイント増えている。この状況からはPM会社が受託事業の成果や事業報告について労力を要する状況がうかがえ、各社が内部体制の充実を図っていると推測できよう。