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【インタビュー】
中森勇樹氏 フィットイージー㈱ COO取締役副社長

明るい話題の少ないフィットネス業界に、コロナ禍をものともせず出店スピードを加速するブランドが存在する。マシンジムを基本アイテムとしながら、シミュレーションゴルフやサウナ、スタジオ、コワーキングスペースなど立地ごとに「プラスアルファ」を巧みに使い分け、コアユーザーのみならず、初心者やライトユーザーにも魅力的な空間“アミューズメントフィットネス”を掲げる「フィットイージー」[図表1]である。

FC中心に急成長
年内には120店舗体制に
――まずは業績と店舗数の推移をお聞かせください。
中森 当社は2018年の創業以降、2期めで10億円、3期めで16億円、4期め25億円と着実に売上げを伸ばしてきました。現在5期めで30億円を見込んでおり、売上げ・利益ともによいペースで成長しています[図表2]。
店舗数も出店エリアの拡大とともに急速に伸びています。本社のある岐阜県内の3店舗を皮切りに東海エリアに18年末に10店舗、次いで神奈川、静岡、福井に進出して19年末に40店舗、その後、奈良、群馬、石川へ出店し、20年末に60店舗。21年には東京、神奈川など関東エリア、兵庫、岡山、山梨、愛媛、香川など関西・四国・九州エリアにも進出して80店舗を記録しています。今年22年にはさらに店舗数は増加し、9月時点で100店舗を突破しました。年内には120店舗を超えると見込んでいます。

――FCへの加盟に関する問合せが殺到しているとのことですが、直営とFCの比率はどのようになっていますか。
中森 現在は3:7の割合でFCが多いですね。直営もふやしたいところですが、出店待ちの加盟店さんが常に数十件あるのでそちらに注力せざるをえない状態です。加盟店の顔ぶれとしては、パチンコホールやボウリング場などレジャー施設の事業者も少なくありません。当社の「アミューズメント」というコンセプトに興味を示してくださるようです。ほかにも、コンビニエンスストア、不動産業やカーディーラーといった異業種の方からの問合せも多いですね。
実際、FCに加盟いただいたオーナーさんからは、商売の考え方が180度変わったという声をよく聞きます。コンビニも経営されているオーナーさんは、同じ売上げ・利益を出すための手間がまったく異なると驚かれていました。

――それはなぜでしょうか。
中森 これは当社が打ち出す「フィットイージー」の運営システムに理由があります。当社では創業当初からDXを強化することで、属人的な仕組みやシステムをできる限り排除してきました。たとえば18年の創業時にはすでに、入店時の顔認証、熱検知といった非接触システムを導入しています。これは新型コロナウイルス流行以前です。人に左右されず、誰がやっても同じように運営できる仕組みとシステムを構築することで、そこで行なえるサービスの領域を無限に広げていくことを目指しているのです。

マシンジムプラスアルファで
楽しさ=アミューズメント性を付加

――フィットイージーの特徴について具体的にお聞かせください。
中森 ひとことで言えば、これまでにない、24時間型の「五感で楽しめるアミューズメントフィットネス」です。全店舗に高品質のトレーニングマシンを設置するだけでなく、これにプラスしてスタジオ、バーチャルバイクマシン、ボルダリングマシン、タンニングマシン、女性専用エリア、酸素ルーム、卓球といった機能を施設ごとにカスタマイズしながら付加していきます。最近では個室タイプのシミュレーションゴルフやサウナ、コワーキングラウンジも採り入れ、好評をいただいています。
入会手続きはすべてWebで完結するスマート入会を採用し、会員になると入館時の顔認証だけで近隣の施設はもちろん、全国どこの店舗でも24時間365日利用できます。今日は会社帰りにサウナ、週末にはゴルフといった具合に近隣の店舗を使い分けていただくことができるうえ、出張先や旅先でも利用いただけることも特徴の1つです。

――基本アイテムとなるマシンジムでコア層をしっかりつかみつつ、スタジオやシミュレーションゴルフ、サウナなど、フィットネス未経験者やライト層にも魅力的なコンテンツを加えることでいずれの層にも訴求できるというのが強みですね。
中森 筋トレでたっぷり運動したあとサウナに入りたいというニーズもありますので、まずはそうしたコア層の満足度を高めていくことを大切にしています。と同時に、ゴルフやサウナ目当ての初心者や未経験者の方にも気軽に使っていただきたいですし、スタジオを導入することで女性の方にも気軽に利用いただくことで、会員数の底上げにつなげていければと考えています。

――昨今は月会費3,000円程度の低価格型ジムもありますが、料金面での戦略としては。
中森 フィットイージーは月会費6,500円、プレミアム(年間継続)会員5,980円、ほかに高校生3,650円(すべて税別)というのが基本になっています(一部店舗により異なる)。安ければ人は集まるかもしれませんが、運営側は店を回すだけで手いっぱい、駐車場は空きがなく施設内も常に密といった状態では、誰も幸せにはなれませんので、追加投資できる余力も残しつつ大手の総合クラブよりは手ごろな金額を狙った設定としています。
――店舗の設計や空間づくりで配慮していることはありますか。
中森 ブランドカラーであるグリーンを基調とし、基調色を際立たせるようほかの部分にはダークな色合いを使い、照明を効果的に使って暗さを出さないよう演出しています。特にストレッチゾーンなどはのびのびと運動できるよう、照明や床材、壁材なども変え明るい空間づくりを心がけています。

<出店戦略と実際の利用状況は本誌にて>

中森勇樹(なかもり・ゆうき)
フィットイージー㈱ COO取締役副社長

リユース事業を全国展開する企業の役員を経て2021年8月よりフィットイージーの副社長に就任。これまで25年以上にわたり数々の新規事業を開発し500店舗以上の店舗展開を行なう。また、独自の人材教育ツールと事業管理ツールを開発し、仕組みとシステムづくりを重視した事業展開を推進すると同時に「人間力こそがすべての事業の根幹」の信念をもつ。

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