SOCO HAUS KORAKUEN|三井不動産レジデンシャル
CASESTUDY
「SOCO HAUS KORAKUEN」(東京都文京区)は、三井不動産レジデンシャルが企画開発したシェアリング型の賃貸住宅。一人暮らしの女性をターゲットに「身軽でゆたかな暮らし」をコンセプトに掲げ、2024年2月に竣工後ほどなく満室となる人気ぶりを博している。
賃料は管理費込みで12万4,000円~15万1,000円に設定。管理費には水道光熱費、WiFi利用料のほか、ランドリーやウォーターサーバー利用料を含んでいる。
企画の発端について、事業を提案した事業創造部 事業室 主査の藤原圭佑氏は、「都市部の家賃上昇により、とくに一人暮らし向けワンルームの住居において間取りが画一化し、選択肢が少なくなっていると感じていた。入居者の嗜好性にフォーカスし、ライフスタイルや価値観に合った生活を提案することで “新しい選択肢” を提供したいと考えた」と話す。
想定顧客を“ 一人暮らしの女性” と定めたのは、周囲の同僚・知人のなかでとくに女性から既存賃貸住宅への不満の声を多く聞いていたためだ。具体的な企画化に向けては、想定顧客と嗜好性の近い社員モニターを対象とした実証実験を実施、生活ニーズを探り、細部にこだわった生活空間づくりに反映している。
建物は地下1階地上6階建て、総戸数76戸。1998年竣工の三井不動産社員寮を大規模リニューアルしたものだ。専有部の広さは15.9~18㎡。従来型のワンルームタイプと違い、キッチンや浴槽を専有部から除き、そのぶん居住スペースを広く設けている。こだわりは細部にわたっており、洗面台上の照明ひとつをとっても、化粧時に不自由を感じない照度とポジションを精密に調節しているという。
一方で共用部は、炊事、洗濯、収納の基本機能に加え、くつろぎや趣味のための共用スペース(ラウンジ、ライブラリー、シアター、トレーニングルーム)が充実している。
「一般的なシェアハウスのように交流を促すものではなく、あくまで個々のプライベートを豊かにする機能」(藤原氏)。
また、家具や備品の配置にこだわり、同じ空間に人がいても適度な距離を保持、リラックスできる空間を阻害しないことを意識している。
「ハード面の構想・開発には、私が実際にシェアハウスに入居していたときの経験が活きている。さまざまなクリエイターのキャスティングにもこだわり、企画コンセプトをあますことなく実現する空間ができた」(同氏)。
マーケティング・プロモーション戦略にも注力する。入居者の募集メディアとしてInstagramなどのSNSを活用。コンセプトに共感する企業とのコラボレーションも認知度向上に繋がった。そのひとつがウェルネス関連事業のTENTIAL(テンシャル)で、同社コンディショニング製品の体験プログラムを実施している。
「D to Cマーケティングを強く意識した。ウェブサイトやSNSでの情報発信などに、入居後の暮らしが強くイメージできるコンテンツの充実を図っている」(藤原氏)。
SOCO HAUSの成功を足掛かりに、シェアリング型賃貸レジデンスの第2弾を検討していく。
「土地からの新規開発・リノベーションいずれも検討したい。物件規模と共用スペースの割合、各種設備の検討などは、KORAKUENで得られた知見を十分に活かしていく」と藤原氏は話している。